KJ31344、120x71cm、カフカス地方、アンティークジジム織り

キリム, キリム マイギャラリー, キリム長さ 120cm前後

キリムNo.: KJ31344

産地: カフカス地方、アンティークジジム織り

寸法: 120x71cm


SOLD OUT

ウインドーに飾られた小さな横柄のキリムは、自然光を浴びキラキラと輝いていました。神々しい黄金色に惹きつけられ手に取って見ると、信じがたいほど細かい織物です。
刺繍織りに使われている色糸は、縦糸と横糸の細さに合わせたかの様に、まるで綿糸のような細さです。無駄毛が取れた織物が見せるしなやかな美しさはもとより、ウールを綿のように使った織りの細かさを自慢したく、手に入れました。

問屋さんは、アゼルバイジャンのキリムと言いました。
が、織り上がった後に入れられている色糸はジジム織りです。ジジムはトルコの織り手が良く使う技法で、色糸を横に入れながら柄を付けていきます。そして柄と柄の間に息抜きをするかのように、柄のない綴(つづれ)織りが入っています。
アゼルバイジャンに伝わる技法はスマック織りと呼ばれる、色糸を斜めに入れ、布全体を色糸で埋め尽くしていく技法で、イラン系の遊牧民が織り継いできた技法です。

ようやく情報を集めた問屋さんは、カフカス地方カラバのもので、テントの中のタペストリーや間仕切り、もしくはラクダやロバの鞍の下に敷いた織物との答えをくれました。

人目につく場所に飾られるのが時間のかかるジジム織りです。熟練した織り手は、美しく鮮明に染め上げた、からし色、茜、藍、緑の色糸と、濃茶をアクセントに、天然の白を地色として使いました。
黒に近い色が欲しかった織り手は、濃茶のウールをより黒に近い色にする為に、鉄が含まれた土を媒染剤に使っています。黒が入ることで、織物によりメリハリが出てきました。
100年以上の時間が経過した織物は、濃い茶の糸が所々抜けています。植物で染められた他の色糸はどれも健在です。これは、鉱物がウールを痛めるために起きた現象です。
化学染料は1866年ドイツで生まれており、この時代の織り手は、植物では出せない黒色を工夫しながら作っていたのです。

別格の存在感を持つアンティークキリムは、時空を超えて、当時の自然からの贈り物です。工夫を重ね独自の織りの世界を追求し続けた織り手達の努力が、一層その価値を高めています。




眼=邪視除け、 ベレケット=豊穣、 水の流れ=生命を支える水が、常に身近にありますようにとの願い


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