→キリム長さ 2m以上, 商品
キリムNo.: KJ12078
産地: シャルキョイ、アンティークキリム(ウール/ウール)
寸法: 195x134cm
価格: 528,000円
1994年に出合ったシャルキョイ・アンティークキリムです。
価格にため息をつきながらも、動物性染料コチニールの独特の魅力には勝てませんでした。
初めてシャルキョイを手にしたのは1990年です。問屋さんが「目にした瞬間、体が熱くなった、一目ぼれだよ!」と興奮しながら広げたキリムは、アンティークの薄さ、緻密さ、格調高さ、色彩の美しさと深さ、すべてが別格で私たちもしばらく声が出せませんでした。本の中でのみ知っていたシャルキョイです。価格も含めすべての驚きを、清水の舞台から飛び降りる気持ちで引き受けたのが、「マイギャラリー」のKJ-7853です。
インテリアに使えるキリムを探し、沢山のシャルキョイを見ました。
100年以上前のシャルキョイ・キリムの大きな特徴は、動物性染料コチニールが使われていることです。19世紀後半、オスマン・トルコ領だった北アフリカ、カナリア諸島で、盛んにコチニールの生産が行われました。このサイズを染めるのに約20万匹もの虫が必要とされ、採取し乾燥させ粉末状にする作業はとてつもない時間を要した染料です。
高価な染料であったため、織られたキリムの多くは個人用というより、東欧の高級官僚やスルタンの宮殿などでタペストリーや床に置く絵などとして、富を象徴する華やかな調度品として重宝がられたそうです。
黒に近い濃い青と深い赤が定番のキリムは、どこまでも細く強く撚られた糸を使い、どこまでも薄く織られた繊細な織物です。
一瞬、黒かと見間違うほどの色は、光に充てると、何度も色が重ねられた藍であることが分かります。化学染料がなかった時代のキリムは、力量のある織り手がこのように何度も色を染め重ねながら、自分の欲しい色に近づけていったのです。100年以上前の健康な自然があってこそのキリムの色です。
赤色も紅赤のみならず、色に幅を持たせるため染色時間や染色液に浸す時間を加減しながら、織り手の実力を十分に見せています。
縫い糸のように細い糸のシャルキョイ・キリムは、ブルガリアやルーマニアなどの共産国で織られてきました。仕事としての織物であったからこそ、かかる時間を度外視したこのように繊細なキリムが伝え継がれてきたのでしょう。
もはや、貴重品となったシャルキョイですが、動物染料の独特の華やかさは、いつの時代も変わらずコレクターを魅了するキリムです。
鳥=幸せの予感、 狼の口=邪視除け、 クロス(十字)=邪視除け