キリムNo.: KJ29338
産地: マラティア, アンティークキリム(ウール/ウール)
寸法: 374x80cm
2002年は、男性買い付けから私達女性に買い付けが変わった年です。
長い間、待ち望んでいた仕事です。勇んで出かけたマーケットではどの問屋さんも、「おめでとう!」の掛け声と共に、彼らの秘蔵キリムを新しいスタートとして、ご祝儀に渡してくれました。それらは先祖伝来の、文化として次世代に伝え継ぎたいキリムです。
仕事の細かさも藍色の深さも、バルケシールの特上と思えたキリムです。が、オーナーはマラティアと言いました。素晴らしいキリムとの出合でした。
東トルコ、マラティアのランナーは、雲一つない今日の高い太陽の光を受け、今が旬と言わんばかりに黄金糸に輝いています。
マラティアは、クルド人の地域です。彼らは、2000年もの間、遊牧生活を続けてきた人たちです。その間、ウールの改良を心掛けてきた彼らのウールはとびっきり上等です。
東トルコに位置しながらも水に恵まれたマラティアは、豊かな明るい色調のキリムを織り継いできました。キリムの多くは、赤、オレンジ、黄、緑など暖色系です。明るくきれいな草木染の色調は、私たちの感覚にピッタリとはまり、沢山のマラティア・キリムが、日本各地で大事にされています。
これは、遊牧民の直径4~5mの円いテントの中で、ハレの日や旅人などの客人のあった時、歓迎の意を込め敷かれたランナーです。電話のない時代、旅人は情報を運んでくる神様からの贈り物と信じられ、最高の歓待を受けたそうです。
そんな特別の日に敷かれたランナーの多くは、その家の女主人が嫁ぐ時、持参品として祖母や母が織ったキリムの中の最上級品です。上等のウール、透明感のある染色に正確な細かい織りの三拍子が揃ったキリムは、その一族の織りの技術の高さと豊かさを象徴する部族の自慢の宝として、代々、大切に伝え継がれてきました。
痛みの全くないオリジナル・キリムと呼ばれるこのキリムは、2色の天然ウールを強く撚り合わせ縦糸に使っています。織り手の自信は、見えない部分にもこだわりを見せています。見惚れるほど黒に近い藍色、茜色、黄金色の組み合わせに、アクセントとして使われているコットンの白さが、このキリムの価値と時間を伝えています。
ドラゴン=豊かさをもたらす、 眼=邪視除け、 クロス=邪視除け