キリムNo.: KJ29908
産地: シブリヒサール、オールドキリム額(ウール/ウール)
寸法: 39x39cm
価格: 24,200円
北部アナトリアの南にあるシブリヒサールは、「尖塔ある城」と言う意味の町です。おそらく、昔のローマ時代やヘレニズム遺跡が町に及ぼした影響のせいと言われています。
シブリヒサールでは、この尖塔をイメージしているかのような、複数の礼拝用ニッチが何重にも垂直方向に重ねられたキリムが有名です。そのニッチは3~14個位まで積み重ねられることもあります。その他にも、エリベリンデ(腰に手を置く女性)が、画面一杯に細かく織り込まれたキリムなど、織り手が技術を競い合っているかようなキリムを織ったのが、シブリヒサールの織り手達です。
また、シブリヒサールの織り手はすべてがアーティストと言って過言でない程、赤色出しの見事さに定評があります。織り手独自の染色方法が、深く、透明感のある独特の赤色を生み出しました。織り手が赤色を染めれば染めるほど違った赤色が生まれ、数え切れないほど幅広い赤色を誇っているシブリヒサールです。
幅の広い赤色に囲まれ、鍛えられながら育った織り手たちは、先祖の色調を尊重しながらも、独自の色調を生み出すことが当たり前のように、自然を観察し、試行錯誤を繰り返しながら技術を磨き続けました。現在のマーケットでは、古いシブリヒサール・キリムは、品薄のせいもありこの赤色に高値が付いています。
鮮やかなオレンジ色、薄い赤色の薄紅(うすくれない)、藤色、ライトグレーを使い若い織り手が織ったキリムは、熟練者とは違う柔らかい動きとやさしさを見せています。
縦糸にビッシリ入れられている上質の横糸ですが、所々、太かったり細かったりの織りと、精一杯の動きのある柄付けが、熟練した織り手とは違う柔らかさを作っています。
糸を染める作業も、ステップバイステップ、一歩ずつ前進していくしかない作業です。
しかし、シブリヒサールの織り手です。何枚も織りながら歳を重ねていくうちに、織りも、染めの技術も上がり、先祖を超えるほどのシブリヒサールの赤色を生み出したはずです。
褪色を見せる若い織り手の作品は、額にピッタリの優しい表情で、柔らかい空間作りが楽しめそうです。
眼=邪視除け、 ベレケット=豊穣、 チェスト(箱)=子孫繁栄