キリムNo.: KJ16285
産地: コンヤ, 手紡ぎ糸, 草木染めキリム
寸法: 196x130cm
価格: 352,000円
伝統的な彼らの先祖のキリムは、先祖の家具であり、娘の嫁入りの持参品でした。
織り手である母や祖母は嫁ぐ娘の為に、気の遠くなるほどの時間を掛け、沢山の愛情を込め、幸せを願い、キリムを織り続けました。
良いキリムを持ち嫁ぐ娘は、良い嫁とかわいがられ、嫁ぎ先から娘の実家に返礼として贈られる羊やヤギなどの家畜の数が増えたほどです。
これは、1997年に手に入れた贅沢な草木染めキリムです。
コンヤの問屋さんたちのニューウエーブと呼ばれたグループは、先祖伝来の柄を使い、その技法を忠実に守りながら、現代空間にマッチする色調のキリム作りを目指しました。
これは、そんなニューウエーブが作った、手紡ぎ糸を植物で染め織られたキリムです。
当時、キリムが世界に認められ、多くの問屋さんたちは、激しい価格競争にさらされていました。そんな中、コンヤのとびっきり上等のキリムは、高い称賛を受けていました。が、誰もが素晴らしさを認めるキリムでありながらもその価格のせいで、ニューウエーブキリムは、徐々に元気をなくしていきました。
伝統的なミフラブ(礼拝用)デザインが、色のバランス、文様の置き方と色調で、現代のモダン空間にもすっきりとマッチするキリムに仕上がっています。茜を何回も掛け合わせた深みのある赤色は光の具合や置かれる場所で、時に可愛らしく、時に大人の表情を見せてくれます。重厚感のある色と織りは、空間を一段上等に見せる素晴らしい助人です。
コンヤに伝わる伝統的技法(手紡ぎ糸、草木染め、熟練者による織り)を伝えることにより、現代のこのキリムを50年後、100年後に、文化として伝統として、次世代に伝え継ぐとの考えが生みだしたキリムです。
高い理想を掲げた採算度外視のキリムは、この様に素晴らしいものでした。
糸、染め、織りの三拍子が揃ったこれほどのキリムは、現代ではもはや作れません。彼らの高い理想は、1990年から15年ほどで終焉しました。 少しづつ褪色を見せ始めたコンヤの贅沢な草木染めキリムは、50年後も、100年後も、今と同じように輝きを発しながら、使う方を愉しませ続けます。