キリムNo.: KJ30303
産地: コンヤ、トルクメン族、オールドキリム
寸法: 80cm X53 cm
価格: 30,800円
天然の濃茶のウールを糸のように細く強く撚り、濃淡に分け、縞ごとに違った表情を織り上げているのは、熟練したトルクメンの織り手です。何とか手に入れた憧れの化学染料ですが、紅色はほんの少ししかありません。どのようにこれを使うか、織り手は創造力を膨らませながら、横糸をせっせと入れていきます。
彼らに伝統的に伝えられてきたキリムはこのように薄い縞柄です。いかに使えば効果的かを考えた末、この織り手は、紅色を固めてこの部分だけに使いました。
本来、2m近いランナーで4枚にはがれていた古布は、テントの中、寝具や雑貨などをカバーする目隠しのような役目をしていた大きなタペストリーでした。
暗いテントでは、植物染料では出せない当時では贅沢な化学染料の紅色は、見る人達の目を楽しませ、元気を与え、気持ちを明るく和ませたことでしょう。
化学染料は1866年、ドイツで生まれました。
中東地域にもまたたく間に広がった化学染料は、植物で染色をしていた織り手たちの目と心を瞬間に奪うほど憧れの染料でした。当時、買わなくてはならない化学染料を使えたのは、部族長の一族や高い技術を身に付けた織り手のみでした。
化学染料を使えることが、織り手の実力の高さの証明だったのです。
4枚にはがれた縞柄の古布は、紅色を固めて使うことで、織り手は華やかさを演出したようです。大事に使われた紅色に、織り手はどんな願いを込めたのでしょう。赤色は「エネルギー」そして「癒し」と言う意味があります。
その紅色を中心に縞柄ごとに違う濃茶の表情は、置く場所や光の加減、そしてその日の気分に反応し、いつも楽しませてくれます。