KJ16087、148x141cm、東トルコ、エルズルム、アンティークキリム

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キリムNo.: KJ16087

産地: 東トルコ、エルズルム、アンティークキリム

寸法: 148x141cm


東北アナトリア、エルズルムは、かつて多くの侵略者からアナトリアを守るために使われた重要な辺境の街であり、アナトリアとイラン間の隊商の重要な拠点でした。
山岳地帯の気候は大変に厳しく、冬は降雪量が多く、夏でもめったに20°Cを超える事がありません。織りに必要な冷たい水が一年中あることが、この地で多くのキリムが織られ続けた理由の一つでした。

エルズルムと言えば礼拝用キリムが浮かぶほど、有名なミフラブ文様キリムの産地です。他のアナトリア地域より幾分大きく、礼拝用ニッチの中の地色に、緑や青緑が使われたキリムが伝えられています。

これほどきれいに、整然と柄が並べられているキリムは、今までお目にかかった事がありません。考えられないほどの時間を使った緻密な仕事ですが、大変な仕事をしているといった気負いはなく押しつけがましさもありません。画面全体に行きとどいた心使いが、奥ゆかしい美しさを表現し、織り手の品性や生き様が織り込まれているような優しいキリムです。「出合った!」と、手に入れたのが1997年です。

織り手が創造し織り上げた花園は、彼女の天国であり楽園です。
水差しのデザインは、子供を授かりたいと願う気持ち、もしくは、生まれてくる子を待つ思いを表現していると言われています。正確で卓越した織りの技術から考えますと、孫の誕生を待ちわびる祖母の織物です。
完璧な柄付けと思われるキリムですが、そこは女性の感覚的な織物です。疲れた頭を空にしたい時、間違い探しをしながら織り手と遊べます。

細く強く丈夫に撚られた縦糸に、毎日、一針、一針、丁寧に入れる横糸は、様々な思い、祈り、願いや夢などが込められた、今を精一杯生きる織り手の生き様です。
子孫に家宝として大事にされ過ぎたキリムは、100年近い時間の経過にもかかわらず、まだ無駄毛が取れていません。踏むことにより、ウールにツヤが出てくるのですが、見ているだけで幸せにしてくれるキリムは、誰もそんな気持ちになってくれません。
時空を超えたキリムは、現代を生きる私たちに多くのメッセージを贈っています。




ミフラブ文様=礼拝用デザイン、ベレケット=豊穣、生命の樹=永遠の繁栄、眼=邪視除け、 鳥=幸せの予感、水差し=子孫誕生


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