キリムNo.: KJ29404
産地: アナドルー、オールドキリム
寸法: 76cm X49cm
価格: 58,300円
黒と赤のモダンな組み合わせのキリムは、ヤストク(枕)の裏側に使われていたものです。
細長いクッションのような形をしたヤストクは、眠る時は枕、寛ぐときはクッション、そして移動の際は、小物や穀物入れとして使われました。そんな目的の袋ですが、織り手のこだわりは、どこまでも終わりがありません。これは、人目に触れない裏側キリムであっても、力を抜かない織り手の作品です。
表の柄付けが判らないキリムですから、アジア側トルコのどこかと言う意味で、アナドルーと呼びます。
艶やかなウールが、黒く染めたかった部分の表情を様々に引き出しています。黒色は植物染料では出せない色です。
熟練した織り手は、天然の濃い茶系のウールを、始めに一本の糸に撚っています。染める目的で、茶系のウールに、ベージュ、茶、濃い茶などの同系色を合わせており、染める色に膨らみが出てくる事を計算した糸作りです。出来上がった糸をインディゴ液の中に何回か浸す作業が、天然の茶系を黒色に近づけていきます。
織り上がった当時は、上等のウールが黒光りする、黒に限りなく近い美しく深い色でした。
織り手のこだわりの黒色は、時間の経過とともに光が藍色を褪色させ、少しずつ本来のウールの色を見せています。そのお蔭で、この織り手の染めの手順を目にすることが出来るのです。
こだわり、工夫しながら創造する世界に向かう時間は、織り手の感性をより高め、自分だけのキリムの世界を展開していく大きなエネルギーとなりました。
その力が、キリムの価値を一層高めてきたのです。
深い赤も鮮明で美しく、織り手の染色技術の高さを教えてくれます。
ボーダーに見えるからし色が、額縁のようで柔らかさをキリムに与えています。黒と赤の強いコントラストはモダンなアートのようで、使われる空間に華やかに輝き、元気を与えてくれそうです。
鳥=幸せの予感 眼=邪視除け バードック(ごぼう)=裕福
羊の角=繁栄、力強さ