キリムNo.: KJ29371
産地: ロシア、カラバ、アンティークキリム
寸法: 212x132cm
まるで魔法使いが織ったのかと思えるほど細かい織りのキリムは、ロシア、カラバ地方のアンティークキリムです。見る誰もが目を見張る深く澄んだ赤色と藍色に、縫い糸のように細く強く撚られたコットンの縦糸が、織り手の底力を見せている工芸品です。織り手がいなくなった現在では、キリムコレクターの憧れの、とびっきりのキリムです。
手招きする問屋さんに釣られて入った店で目にしたキリムの威厳をたたえた表情は、遠くからでも見る者を圧倒していました。凛とした女王様のように別格の雰囲気を持ったキリムは、誰が見ても感じる文化と伝統を体中で語っていました。
濃く深い藍色に織り込まれた花柄と澄んだ深い大人の赤色を囲むアクセントの白色は、コットンを使っています。使い込むほど白さを増すコットンは、それぞれの色と柄をきれいに強調し、時間の経過と共に、益々鮮明な表情をキリムに与えてくれます。
お陰で、キリムは時間を超越した表情で、私たちに織られた当時の表情を見せてくれます。
使い継がれたキリムですが全く痛みがなく、上等とは何かを伝えています。すっかり無駄毛が取れた現在では、しなやかでより繊細な表情になり、工芸品としての風格に磨きをかけています。
カラバ(カラバフ)はトルコ東北部からカフカス地方へ続く地域です。ロシア、グルジア、アルメニア、アゼルバイジャンなどの様々な民族が入り混っており、文化的にも独特な融合が見られます。
100年をとうに過ぎたこのキリムは、ロシアのカラバ地方で織られたものです。
花柄のデザインは、コーカサス地方の花模様やカラバフのキリムの影響を受けながら、トルコのカラバ・キリムへとつながって行きました。幾何学化した花模様は、アナトリアでは東トルコ以外には織られていません。
近年、カラバ・キリムと呼ばれる織物は、カフカス地方から移動してきた人々の影響を受けた東トルコのエルズルム周辺の人々が織り継いできた花柄文様を指します。