キリムNo.: KJ36697
産地: アメリカ、ナバホ族(ウール/ウール)
寸法: 123x67cm
価格: 143,000円
20年程前、アリゾナ州のインディアン・リザベーション(保留地)のオークションで手に入れた、ナバホ・インディアンの織物です。
アメリカの先住民であるナバホ族は、18世紀、スペイン人が連れてきた羊の放牧をすぐに取り入れ、「ナバホ・ラグ」と呼ばれる織物を織り始めました。19世紀には、貴重な交易品となり、現在でもアメリカン価格の織物として珍重されています。
中近東の遊牧民と違い母系社会であるナバホ族は、放牧も織物も女性の仕事としてきました。尋ねた時案内された工房では、女性たちは忙しそうに手を動かしながら手紡ぎ糸を撚っていました。
彼らの織物は中近東の遊牧民達と同じく、縦糸に入れた横糸を縦糸が見えなくなるまで詰めて行く「綴織り(つづれおり)」です。驚いた事に、伝統的に織り継がれてきた柄が、トルコ、ムットにそっくりの星や眼の幾何学文様です。なぜ、イスラム教でないナバホ族が幾何学文様の織物を織るのか?なぜ酷似した柄を地球の西と東で織っているのか?交流があったのか?等などに惹かれ手に入れたキリムです。
トルコキリムは通常、織り上がったキリムに付いた藁(わら)や汚れを取り払うため、表面をバーナーで焼き仕上げます。これは、移動を繰り返した遊牧民のキリムが、テントの中の家具であり敷物だったからです。
それに対し、ナバホの織物の表面は、羊の毛の柔らかさそのままで、汚れを取っても焼く加工はしていません。柔らかな織物はブランケットと呼ばれ、敷物のみならず毛布のような役割も果たしていたそうです。
糸の撚りがしっかり掛ったキリムは、縦糸の間隔が少しありますが、横糸がビッシリ入れられており丈夫です。
黒、チャコールグレー、ライトグレーに染め分けされた糸がチョコレート色に染められた糸と組み合わされています。白は天然の羊です。
この色調は、ナバホ族の生活環境を反映しているに違いありません。おしゃれでモダンな空間にピッタリのキリムは、小さくても大きな存在感があります。
眼=邪視除け