キリムNo.: KJ31258
産地: マラティア、オールドキリム(ヤギ/ウール)
寸法: 75x73cm
価格: 52,800円
東トルコ、マラティアの芳醇な土地は、一年中、様々な植物を織り手に与え、織り手達は色彩豊かなキリムを織り継いできました。
どの部族よりも長く2000年近く遊牧生活を続けてきたクルド族が移動の合間に織るキリムは、ほぼ横柄です。移動に便利なように織り機の幅は1m前後、地面に水平に張られた織り機の上に座り、自身を重りにして織りを進めました。
幅1m前後の織物は必要に応じ、チュアル(衣類袋)、ランナーやタペストリー、あるいは、何枚かに剥いで床敷きや間仕切りなどに作られました。
マラティア・クルド人の多くのキリムは、茜、オレンジ、黄、黄緑、オレンジなどの豊かさの象徴である色が使われた、どこまでも明るい暖色です。藍、ライトベージュ、コットンの白などが、織り手の技術の高さやセンスの良さをアピールするかの様に、アクセントに使われています。豊かな自然を象徴するキリムは、おおらかさと暖かさに溢れています。
これはチュアル(衣類袋)の表側だったものです。チュアルとは、家族の衣類を入れるクッションのような大きな袋です。次の牧草地に移動する際、チュアルは先導するラクダの背に括り付けられ、遠目からでもどの部族かを認識する役目を果たしました。
部族一の織り手が特上の糸を鮮明に染め、伝統的に継がれた部族の柄を織り込んだチュアルは、乾燥地帯の強い光を浴びながら、遠目からでも織り手の技術の高さと美しさを披露する役目も果たしました。
光輝くウールは、その部族の羊の良質さを伝え、物々交換をよりスムーズにしたそうです。
常に自身のセンスと技術の向上を目指した織り手は、マラティアでは珍しく縦糸にヤギの毛を使っています。手持ちのカーリーなウールと直毛のヤギの毛を一本の糸に強く固く撚った縦糸は、長い間、物入れとして使われたせいで、キリムの下部に少し波打ちが見られます。おおらかでかわいらしいキリムは、小さな孫娘の嫁入り支度だったかもしれません。
玄関、床やタペストリーなど、どのような場所にもフィットするかわいい姿になったキリムは、楽しかった当時のテントの中を見せているようです。
ベレケット=豊穣、 眼=邪視除け、 ドラゴン=豊かさをもたらす、 鳥=幸せの予感