キリムNo.: KJ22766
産地: ヘルキ族, オールドキリム(ウール/ウール)
寸法: 165x78cm
価格: 242,000円
ヘルキ族はクルド系の人々で、トルコ東部からイラク北部の山岳地帯を居住地としていました。東トルコのヴァンやハッカリのクルド族のキリムと似ており、今どきの問屋さんには、識別できない人たちもいます。遊牧民は移動を繰り返し生きた人々であり、国境のなかった時代の織物であるオールドキリムが、現代に多くの情報を残していないため仕方のないことかもしれません。
であればこそ、キリムが私たちの感性や感覚に訴える力は大きく、私たちの想像力を鍛えてくれます。
このキリムに使われている深い藍と海老茶色は、ヴァンやハッカリの上等のキリムに似ています。最上級のウールは、何回も染めが繰り返されてもびくともしていません。織り上がった当時から、美しく輝いていたはずです。ウールが上等であれば、透明度の高い糸が染められます。深く澄んだ色調は、それだけでキリムの格を上げます。
古いキリムの価格は、このウールにつけられた値段と言われています。嫁入りの持参品であったキリムに込められた母や祖母の大きな愛情は、今、子孫の問屋さんにも大きなメリットをもたらしているのです。
高い技術を持った織り手は、一枚の布にキリム織り、ジジム織りとズリ織りを加えて織りを楽しんだ様子です。縦糸は、表に使いたいほど上質のウールが、固く強く撚られ使われています。それだけでも見る者の注意を惹きますが、横糸も同じウールが丁寧にびっしり入れられています。
本来が4m近いランナーであったこのキリムは、ハレの日やお客様のある日にテントの中央に敷かれた、客人を心から歓待するための敷物でした。このテントを訪れた客人は、このキリムのつややかさに目を見張り、必ず賞賛の声を上げたはずです。何世代も伝え継がれてきたキリムは、いつの時もテントの中で話題の中心だったことでしょう。
こんな使用目的であったからこそ、ここまで上等のキリムが生まれたのでしょう。そこに見えるのは、織り手の愛情と心意気と計算です。
眼=邪視避け、 ベレケット=豊穣、 鳥=幸せの予感、
羊の角=繁栄、たくましさ