KJ13198、220x141cm、ヤヒヤリ, オールドキリム

商品, 逸品キリム

キリムNo.: KJ13198

産地: ヤヒヤリ, オールドキリム

寸法: 220x141cm

価格: 638,000円

1995年秋、初めて入った問屋さんの店内の奥で黄金色の光を放っていたキリムが目に飛び込んできました。「えっ?」と思いつつ近づいて見ると、近くの小窓から射す光がキリムにあたり、その反射がまるで3Dのようにキリムを立体的にしていたのです。

見とれている私達に、「素晴らしいだろう?自慢のキリムなんだ。遊牧民の楽園が見えたかい?」と問屋さんは話しかけてきました。
「楽園?」との私たちの声に、「遊牧民は来世を信じた人達さ。トルコのキリムが他地域と比べ色調豊かなのは、トルコの豊かな気候や厳しい戒律のお蔭だよ。彼らの生活の場であるテントは、楽園や天国をイメージした豊かな色彩で彩られていた。これはトロス山脈のヤヒヤリのキリムだが、織り手が目にした、神々しい日の出や日の入り、日々移り変わる光景、彼女の人生など、すべてが織り込まれているんだ。」と話してくれました。
先祖に誇りを持つ問屋さんは、この時から私達のキリムの先生となり、キリムを販売するだけでなく、私達の様々な質問に深く答え、私達の感覚を磨き続けてくれました。

優しいけれど鋭い感性と高度な技術の持ち主は、輝かしい太陽を茜で染めだし中心に使っています。その周りに日没後の静の世界を、そしてそれを囲むのが日中の光輝く動の時間です。ボーダー一杯に描かれているのはベレケット=豊穣です。
豊かさで埋め尽くされた楽園に、彼女はもう一つ織り手たちの憧れを織り込んでいます。それは、化学染料の紫で染め出された糸です。当時、目新しい化学染料は、部族長の家族か高い技術の持ち主のみが使える染料でした。
糸、織り、色調、糸の撚り方、どれを取っても、織りの師匠のような織り手であることが伝わってくるキリムです。

光と時間が褪色させた現在の色は、文化&伝統のキリムであればこその表情です。
何処を取っても素晴らしい逸品が、もう一つ私達に見せてくれる楽しさがあります。裏返すと、ほぼ染められた当時のままと思われる色調が現れます。
100年近い昔の織り手の豊かな人生を、織物を通して目にし、手に出来ることは幸せです。



ミフラブ文様=礼拝用デザイン 足かせ=友愛 狼の口=邪視除け ベレケット=繁栄


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