KJ18759、101x80cm、ムット, オールドキリム

キリム長さ 120cm前後, 商品

キリムNo.: KJ18759

産地: ムット, オールドキリム

寸法: 101x80cm

価格: 176,000円

1998年、キリム街を歩いていると大きなクッションが目に飛び込んできました。
 店のウインドウをほぼ占領するように飾られた大きな袋は、窓に反射する午後の光を一杯に浴びキラキラと輝いて、深く落ち着いた繊細な表情を見せています。しばらく眺めている私達に、「どうぞ!」の声がかかりました。

 店内で見る大きなクッションは、自然光とは違った雰囲気を漂わせていました。染めた当時のままと思われるコックリした美しい色調に変わりはないのですが、それは力強く、素朴であり、重厚感を感じさせます。上等のウールと熟練した織り手の技術に光が加わり見せる様々な表情は、言葉以上の説得力がありました。
 思わず、「光の下と店内でこんなに表情が違うの?すごいですね?」と言いう私たちに「うん、キリムの深さだよ。文化だからね。」と、答えるオーナーでした。

 大きなクッションは、チュアルと呼ばれる衣類袋でした。
 羊やヤギなどの家畜を連れ、水と草を求めて一年中移動を繰り返すテント暮らしの遊牧民の、家具です。約120x80cm位のチュアルは、移動の際、先頭を行くラクダの背に乗せ、遠くからでも部族を認識出来るよう、とびっきりのウールを使い、熟練した織り手が部族の象徴であるデザインを織り込んでいます

長年、衣類袋として、あるいは豊作の年は穀物の収納袋として、使われてきたチュアルは、いびつになっていました。現代のトルコの問屋さんは、ストレッチと言う技術を使い、ゆがんだキリムを伸ばします。この文化としてのキリムに、そのような作業は似合いません。織られ、使われ、あるがままの形が一番似合いそうです。

 広げ、両側にステッチを掛けていると、誰かが糸を足しているのが見えてきました。この袋の織り手は、最上部だけ焦げ茶とチョコレート色で縞柄を織っています。その後、子孫の誰かが、チョコレート色で刺繍しています。
 先祖と共作したかったのか?自分の技術を加えたかったのか?キリムが伝え継がれていることを証明している織物です。


 眼=邪視除け エリベリンデ(腰に手を置く女性)=繁栄、多産、豊穣,   星=幸せへの願い S字フック=邪視除け


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