キリムNo.: KJ33045
産地: コンヤ, オールドキリム
寸法: 138x74cm
価格: 91,300円
テントで暮らした遊牧民は、移動に不便な重い木の家具は持ちませんでした。彼らは飼育していた家畜の毛を刈り、糸にし、染め、家具の代わりに、大小の袋、間仕切りやタペストリーなどを作りました。
これは、クロゼットのように使われたチュアル(衣類袋)です。
部族の家紋のような印が織り込まれた大きなクッションのような形の袋は、家族の衣類袋であり、移動の際は、部族を識別する目印として、ラクダの背に乗せられました。
これはそのチュアルの裏側です。人目に触れない裏側は、ほとんどのチュアルは無地で織られています。合理的な主婦たちの仕事です。とはいえ、まったく手抜きは見られません。
天然の無地の表現は、ひとえに織り手の技術力とセンスがその表情となります。織る事とは、織り手の性格や生き方が布の上に現れます。
厳しい自然をしなやかに受け止め生きながら、織り手は一枚一枚のキリムに、その時の感情や思いを織り込んでいったのです。高度で熟練した技術は、微妙なウールの色の違いをうまく使い分けています。
このようにおしゃれでアートのような表現が出来るようになるには、沢山の時間と、鍛え続けられた創造力と感性が必要です。織る事が生きることであった織り手は、生きる事も大いに楽しんだ人のように見えます。