キリムNo.: KJ12958
産地: ウシャク、セミオールドキリム
寸法: 148x107cm
価格: 176,000円
1995年に出合ったこのキリムは、思わず「良く織ったわね。」と声をかけたくなるほどの頑張りが伝わってきました。あれから16年経っていますが、織り手の懸命さのお陰で、当方のストックルームに保管され続けたためちっとも年を取らず、16年前のままの表情です。自分のため、娘の嫁入りの持参品として織られた古いキリムならばともかく、近年織られたキリムでこれほどの柄付けはめったに見かけません。
ウシャクはデニズリに近く、30年ほど前より、共に輸出用キリムの重要な生産地です。デニズリと比べると、色調はウシャクの伝統色が使われ、デニズリより少し素朴感のあるキリムの産地と言った感があります。ここは5x4.5m以上もある、アナトリアで最も大きなキリムと絨毯の生産地としても知られています。
この織り手は大きなキリムを織れる人だったかも知れません。その根気強さが、この様に画面一杯に柄を付ける気力と忍耐のいる作業をこなしているのかも知れません。
「生命の樹」(不滅の繁栄)、「種」(子孫繁栄)、「ベレケット」(豊穣)、「エリベリンデ」
(繁栄、多産、豊穣)と織り込まれているデザインを読んでみると、家族の嫁入り道具の一枚として、部族に伝わるデザインを先祖がしたように、時間をかけ、心を込めて丁寧に織り込んだように見えます。
そんな気持ちが伝わるキリムだからこそ、長い間お蔵の中ですみませんでしたと、織り手に言いながら、光を当てれば、「私はこれからよ!」と元気に明るい声が返ってきそうなキリムです。