キリムNo.: KJ36129
産地: コンヤ, トルクメン族, オールドランナー
寸法: 268x54cm
価格: 176,000円
遊牧民は強固な血族集団です。親類縁者が一つの家族のような集団を作り、協力し合いながら、一年中移動生活をした人々です。
彼らの家具であり、娘の嫁入りの持参品であったキリムには、その部族を象徴する文様(家紋)が織り継がれてきました。本来なら、部族名で呼ばれるキリムですが、トルコの場合、近年、他地域の遊牧民より早くから他部族との交流が行われ、キリムも部族よりその地域のキリムとして、キリムが集まる町の名前が呼び名になってきました。
そんな中、コンヤ地域を移動したトルクメン族は柄を持たない部族のため、他部族との識別が容易であり、現代でも部族名で呼ばれる珍しいキリムです。
細いコットンの丈夫な縦糸に、細く強く撚られたウールの横糸をビッシリと詰めて織られるのが、トルクメンのキリムの特徴です。細く丈夫な糸を作れる技術がトルクメンの織り物の真髄です。伸縮性の違う綿とウールを上手に使い、ほぼ真っ直ぐ織るには、熟練した技術と集中力を維持できる大人である必要があります。
しっかりした織りのこのキリムは、60年前後のまだまだ若い布ですが、使い込み、無駄が取れ、しなやかさが出てくる頃には、織り手の実力が光ってきます。そして光、空気と時間の自然の力が加わることで、益々、表情が豊かになります。
この布には、珍しく中心にはキリム柄があります。「櫛」と「ファーティマの手」です。
ファーティマは、預言者ムハンマドの四女でした。彼女はカリフ(教主)の地位を父の血を受けた者に継がせようと戦った女性で、のちに女性の理想として崇められたと伝えられています。彼女の手をかたどった手の文様は、邪視除けです。
伝統を織り継ぐことを承知しながらも、今の自分の気持ちを表現した織り手が、古い物は新しいと言うこと伝えています。モダンな縞柄にキリム柄が加わる事により、使える範囲が広がります。
櫛=幸せな結婚を望む、 ファーティマの手=邪視除け