キリムNo.: KJ30310
産地: コンヤ, トルクメン族, ベイリーオールドキリム(コットン/ウール)
寸法: 221x75cm
価格: 159,500円
11~13世紀、トルコの都があったコンヤ周辺を移動したトルクメン族は、縞柄を織り継いできた遊牧民です。彼らの織物は、縦糸にコットンが使われ、織りが薄く細かく、細長い織物です。必要に応じ何枚かを接ぎ、大きな一枚のキリムを作ります。この布は、主に、間仕切り、寝具カバー、タペストリー、何枚を重ねて床敷きなどに使われてきました。
遊牧民は、移動する地域にある素材を使い、工夫をしながら織りを続けてきた人々です。
トルクメンの織物は、縦糸は常に綿、横糸はウール、時にヤギの毛がウールと共に撚られた糸が使われています。染料は、植物の根から採れる茜色がメインカラーで、染色の時間、水の量、材料の量などを工夫しながら、色調の豊かさや深さを表現し続けてきました。
このランナーの3本の濃いピンクは、化学染料です。褪色して柔らかくなった藤色は植物染料です。織られた当時、ランナーの縞は同じ濃さの赤色だったはずです。大事に子孫に使い継がれ、光に愛され続けたランナーが見せるのが、現在のおしゃれな表情です。
1866年、ドイツで生まれた化学染料は、瞬く間に中東の遊牧民に広まりました。
植物染料では決して出せない化学染料の鮮やかでシャープな色調に、多くの織り手たちは、驚き、憧れ、使うことを強く願ったのです。が、買わなくてはならない化学染料を手にすることが出来たのは、部族長の家族や織りの名人など、ごく少数の人々でした。
この織り手は、少しお裾分けをしてもらったのでしょう?ほんの少々の化学染料ですが、100年近い時間が経った現在では、それがアクセントとなり、しっとりと落ち着いた古布に、現代的でモダンな雰囲気を与えています。古いのに今を感じさせる布です。
キリムの織り手は全員が無名のお母さんやお祖母ちゃんですが、彼女たちは誰もがアーティストです。自然と共の暮らした彼女たちは、常に感覚や創造力を研き続けました。感性の大事さを知っていた彼女たちの織物は、いつの時代も多くの人々を惹きつけてやまない力を持った作品です。