キリムNo.: KJ33547
産地: バルーチ族, オールドキリム
寸法: 300x59cm
価格: 242,000円
KJ37117と同じ部族の若い織り手によるオールドキリムです。
素晴らしい先輩の仕事をお手本に、この織り手は頑張って茜からチョコレート色までの赤ベースの色を工夫しながら染め出しています。丈夫で固く撚られた糸を使ったキリムは、これから使い込むことにより、ウールの無駄毛が取れ、キリムにツヤが生まれてきます。
後は、使われる方と自然の力が協力し合いながら、このキリムの表情を作っていくのです。
50~60年ほど前の懸命に織られたキリムですが、KJ37117のような100年近い古いキリムと比べますと、その出来は違います。
同じ部族であり、デザインは同じ、色調は似ています。
3000m付近を移動する生活スタイルはそんなに変わっていないはずなのに、何が違うのでしょう?
遊牧民のキリムは1000年以上もの長い間、先祖代々織り継がれてきたものです。
部族に伝わる伝統柄はそのまま伝え継がれます。色調は同じ材料を同じ方法で染めたとしても、自然現象により20~30年ほどのスパンでかわっていきます。
織りの技術は織り手それぞれの技術であり、伝承することは出来ません。いつの時代も、子孫の立派なキリムをお手本に、織り手達は最大の努力を重ねてきました。時に、それを超えるほどのキリムの織り手がいれば、その織り手の織ったキリムが新しいお手本になるのです。
このキリムは、織る事が好きな織り手が織ったものです。
でも、時代の違いは情報の違いであり、先祖より様々な情報を手に入れることが出来る織り手達には、好きなことの選択肢が広がっていたのです。
情報のない時代を生きた先祖たちの織り物の素晴らしさは、その集中力と創造性です。一心不乱、織り機に向う時間が、神業のようなキリムを織り上げるのです。
そのようなバックグラウンドを知っていれば、目の前にあるキリムが身近になります。
現代の私達には到底及ばないほどの根気と愛情が織り込まれ、それなりに鍛えられた織り手の精一杯の仕事は、身近な友のような存在で、年を重ねるほど輝きを増していきます。
眼=邪視除け、 羊の角=繁栄、たくましさ
水の流れ=生命を支える水が、常に身近にありますようにとの願い