KJ20688、189x64cm、イラク、ヘルキ族、オールドキリム

商品, 逸品キリム

キリムNo.: KJ20688

産地: イラク、ヘルキ族、オールドキリム

寸法: 189x64cm

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ヘルキ族はクルド系民族で、東トルコのバンやハッカリからイラン、イラク北部の国境周辺の山岳地帯に居住し、牧畜をした人々です。クルド族は2000年近くも遊牧生活を続けた人々で、ヘルキ族も比較的遅くまで移動を続けました。

植物の少ない山岳地帯の特徴ですが、彼らのキリムは濃く暗い赤と藍色に天然の羊の白の色調が伝統的に使われています。赤は植物の根、藍はインディゴを使い糸を染めています。
2000年もの長い遊牧生活の間、クルドの人々は常に羊の毛の改良を続けてきました。
羊は人類が初めて飼い慣らす事が出来た動物のひとつで、古代の羊の毛はフェルトのように、もつれた毛だったそうです。彼らは長い時間をかけ良い種類を選び、改良を続けた結果、もつれ毛を紡ぐ事が出来る長くて柔らかい毛へと進化させて行きました。

中央アジア、中近東や北アフリカなどの遊牧民にとり、羊はいつの時代も、紡ぎ糸の主要な材料でした。毛はフェルトにしたり、紡いだりすることにより、繊維と繊維が絡まり合い、最良の織物糸となります。また、40%以上の高い油分を含んでおり、断熱効果があり、耐久性に優れているのです。絡み合うカーリーな羊の毛が、織りの初心者をどれほど助けたことでしょう。

ヘルキ族のこのキリムも、黒光りするほど上質の毛が使われています。太く強く撚られた縦糸は大黒柱のように、どんなに強く引っ張られても、詰められても、ビクともせず、織り手は安心して力一杯織る事と向き合えました。
伝統通りの重く暗い藍色と赤色の色調に、ヘルキが良く使うオレンジとピンクを加え、色糸を斜めに入れるスマック織りの技法で、ボーダーを飾っています。
上等の糸は何回も繰り返される染めに耐え、藍色はどこまでも黒く濃く、赤色は表情のある濃淡に仕上がりました。小さなランナーの中に、日の出から日没まで、一日を表現した織り手の晴れやかな表情が浮かびます。

ベレケット=豊穣、 羊の角=繁栄、たくましさ、 眼=邪視除け、 足かせ=友愛


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