キリムNo.: KJ28417
産地: トロス、新作キリム
寸法: 147x99cm(含フサ)
価格: 85,800円
絨毯ビジネスで成功し、ブルーモスクやアヤソフィアモスクの近くに観光客向けホテルを数件持つホテルオーナーがいます。旧市街にある彼のホテルは、オスマントルコの面影を残す古い建物で、部屋の天井は高く、部屋ほどあるバスルームには古いおしゃれなバスタブが置かれています。大きな窓に広がるボスポラス湾の先にはウシュクダラを始め、人々の息遣いが感じられるアジア側トルコの町々が広がり、イスタンブール一番の絶景が24時間楽しめる場所です。
彼の自慢は、どの階にも、どの部屋にも敷かれた自作の草木染め絨毯です。
5階建てのホテルの各部屋に敷かれた絨毯は、すべて違ったデザイン、色彩、サイズ、雰囲気です。草木染めで優しい色調の暖かさのある絨毯は心地よく、ホテルは各国からの常連客でいつも賑わっています。父が始めた絨毯ビジネスで色彩感覚や創造性を身につけたオーナーは、草木染めのオリジナル絨毯製作に乗り出し成功しました。
このオーナーの最終目標が新しいキリムの製作です。次世代に継ぐ先祖からの文化の伝承を念頭に置きながらも、その時代に合ったキリムの必要性を肌で感じている人です。
手織りの一点物のキリム作りは、創造性と根気、そしてパトロンと呼ばれる位たくさんのお金が必要であり、財をなした後の仕事となった事を話してくれました。
彼を訪ねるたび、その時々の新作を「どうだい、日本に合うかな?」と見せてくれます。
“薄く細かくきれい”が、彼が目指すキリムです。上等のウールを機械で、細く強く撚っています。藍色が好きだと言う彼は、インディゴをベースに、藍色、空色、深緑を作っています。赤色は2色の化学染料を使っています。
彼が特にこだわっているのが織りです。まるで機械で織ったかのように細かく滑らかな織りは、手織りです。若い女性たちが無心に織り機に向かう織り場に案内してくれたオーナーに笑顔を見せた彼女たちが、このキリムを織っています。
技術の進歩が生んだ細い糸は、技量のある織り手達の手を通して、まるで機械で織ったかのように滑らかで繊細なキリムへと形を変えていきます。
昔の織り手が重なる若い織り手達が、次世代へキリムを継ぐ使者として生き残れるか否かは、問屋さんと私達の肩にもかかっていることを、再認識させられた次第です。
眼=邪視除け、 櫛=幸せな結婚を願う