キリムNo.: KJ34037
産地: コンヤ、アンティークキリム
寸法: 144x76cm
価格: 165,000円
飛びっきり上等のウールが使われたキリムは、小さな店の中で異彩を放っていました。
ツヤツヤと輝くキリムの前に立つと、昔の植物の持つ威力でしょうか、肩をもまれているように気持ち良くなりました
藍、ブルー、黄、オレンジ、小豆、撫子(なでしこ)、どの色も深く透明感があります。織り手の染色技術の高さに、長い時間が寄り添い作り上げた独特の色調に、誰にも好かれたキリムに違いないと確信しながら、しばし見惚れました。
「これ別格ね?でも、まだまだ無駄毛があるのにアンティークキリム?」と聞く私たちに「そうだよ。」と、涼しげな顔でオーナーは、レクチャーを始めました。
100年以上前の水や空気がどれほど健康であったか、当時の自然の状態をキリムが教えてくれます。健康な植物が健康な家畜を育て、彼らから取れる毛は柔らかく上等です。その毛を染めれば当然、透明感あふれる糸になるのです。
健康な自然に囲まれた織り手達の創造力や感性も研ぎ澄まされ、色やデザインに独自性を存分に発揮しながら、現代でも古さを感じさせない見事なキリムを生み続けていたのです。
上下に新しいステッチ掛けられたキリムは、本来、4m前後のランナーでした。
ハレの日や部族のお祝いの日に披露するため、嫁ぐ孫娘の為に祖母がたっぷりの愛情と精魂込め織り上げた嫁入りの持参品だったに違いありません。色それぞれがパワー溢れる魅力的なキリムは注目を集め、どんな時も話題の中心だったことでしょう。
誰からも愛されたキリムは、ある時モスクに寄進されました。一番良い持ち物を寄進するのが彼らです。今度は公の場で、多くの人々からの称賛を受けながら、幸せな時間を過ごしてきました。
その後、マーケットに放出されたキリムには、モスク寄進の際付けられた番号を書いたブルーのインクを落とした跡があります。それを見つけた私たちに「ラッキーブルーだよ。使う人に幸運をもたらし一層ハッピーにしてくれるよ。」と、笑顔を見せるオーナーでした。
羊の角=繁栄、多産、豊穣、 星=幸せへの願い、 眼=邪視除け、足かせ=友愛、鳥=幸せの予感