キリムNo.: KJ28242
産地: カフカス地方、アゼルバイジャン、アンティークキリムクッション(ウール/ウール)
寸法: 43x52cm
価格: 36,300円
糸、色、織りの三拍子が揃ったアゼルバイジャンのキリムです。アゼルバイジャンは、イランの北にあり、カスピ海に面した国です。コーカサス地方の中で最もキリムを生産し、長い織りの歴史があります。
アゼルバイジャンの織り手は、キリムを始め多種多様な貯蔵用バッグ、マフラッシュ、ヘイベやソフラなど、幅広い織物を織り継いできました。
マフラッシュは箱型に仕立てた袋です。衣類、食糧、日常の手回り品や赤ん坊のゆりかご等に使われました。人目に付くマフラッシュに織り手達は高い技術を馳駆し、目を見張るほど素晴らしい刺繍織りをしています。この地域には、ジャジム織り、ズリ織り、ベルネ織り、スマック織り等、様々な技法が伝えられてきました。
ヘイベは、ロバやラクダなどの動物の背に掛ける収納袋、ソフラは食卓用キリムです。
このクッションは、柄から想像しますと、チュアル(衣類袋)だった様に思えます。
機械で作ったのかと思えるほど細く固く撚られたツヤツヤの縦糸と横糸は、100年近く使い込まれたチュアルを、今、織り上がったのかと思えるほど美しく見せています。
縞柄部分はキリム織りです。そして、ワインレッドと深緑で描かれている「眼」のデザイを目を凝らして見ると、キリム織りの上に置かれた刺繍に、色糸を斜めに入れるスマック織りと横に入れるジジム織りが重なっているのが見えます。白いコットンで縁取られた「羊の角」と交互に入れられている「眼」の刺繍は、どれもこのスタイルです。
横糸の上に色糸を入れていくとてつもなく時間の掛る作業を、織り手は一針一針、丁寧に創造力を膨らましながら楽しんでいるようです。
織る事に力を付けていく織り手には、工夫することは喜びであり、驚く人々の顔を想像しながらの作業は、楽しくて仕方がない時間だったのです。
現代では誰も真似出来ない工芸品がお部屋にあるなんて素敵です。
櫛=幸せな結婚を願う、 眼=邪視除け、 羊の角=繁栄、多産、豊穣、水の流れ=生命を支える水が常に身近にありますようにとの願い