キリムNo.: KJ31429-A
産地: ウズベキスタン、アンティークキリム(ウール/ウール)
寸法: 135x42cm
価格: 79,200円
100年以上前のウズベキスタンの織物は、裏側に浮き糸を渡しているジャジム織りと、平織りの上に刺繍されたスザーニと呼ばれる技法が使われた布が剥がれています。
2mx140cm位の大きさだったコンディションの良い布は、タペストリーとして使われてきたようです。刺繍と織りが交互に繰り返された2m近い布は、織りの技術が強調された部分と、実力ある人ならではの可愛らしい表現とが組み合わされた古布です。
様々な遊牧民が、それぞれに工夫を凝らした織り方を伝えてきました。
赤色部分のジャジム織りは、イラン、アフガニスタンにも見られます。縦糸で柄を表わし、縦糸に強い撚りをかけるジャジム織りは、どの部族も幅の狭い織り機を使っています。
この布の場合、織り手は7m近い長さを織り、必要な寸法にカットし、剥いでいます。
様々な服装をまとい、目にしたこともない交易品を持ってやってくる外国人たちは、織り手には新鮮であり驚きであり、いつも羨望の眼差しで溜息を付きながら彼らを観察していたことでしょう。
シルクロード経由で化学染料もマーケットで手に入りました。
テントの中心に掛けるタペストリーに使うため手にした赤い化学染料は、朱色とも緋色とも言えない、化学染料の赤色です。ウキウキ気分の織り手は、7m近いジャジム織りを、始めから終りまで同じ調子で正確に織り上げています。
右に剥がれた白地は、縦糸が表面になる平織りとトルコでは呼ばれる技法で、特に呼び名はありません。ジャジム織りで自己表現をした織り手は、次に、部族の伝統に従い、いつものように植物染料を使い柔らかい色調で伝統の布を織りました。スザーニと呼ばれる技法です。スザーニは、織り上がった布の上に刺繍をしながら柄を付けていきます。
まるで子供が描いたかのように愛らしく、温かく、無邪気なモダンアートのような表現と、その時々目にした流行や感じた息吹を織物に創造する織り手の力量に、感心させられます。
技法が違う2枚の布は、時間をかけながら少しずつそれぞれの特徴を見せてきました。織りと刺繍のアンバランスが、織り手を感じさせる魅力でもある古布です。
所どころ、子孫が補強の糸を入れています。が、先祖の見事な技術を一層際立たせているコラボレーションです。
何代も大切にされてきた古布は、出合った方のお手元で、これからも輝きを増してゆく事でしょう。
眼=邪視除け