キリムNo.: KJ33282
産地: アナドル、アンティークキリムクッション(ウール/ウール)
寸法: 39x40cm
価格: 10,450円
手紡ぎのウール糸で平織りをし、その上にトルコでポピュラーなチェーンステッチで刺繍をしている織り手の創作作品です。織り手が目指したのは、中央アジア、ウズベキスタンに伝わる刺繍で柄を描くスザーニのようです。
スザーニは、チェーンステッチとコーチングステッチを組み合わせた刺繍です。コーチングステッチは図案の上に柄になる糸を置き、その糸を別の糸で止めて柄を作っていきます。
シルクロードの交易路ウズベキスタンに伝わるスザーニは、本来、キリム同様、嫁入りの持参品でした。娘の幸せや家族の安全を願い、先祖代々受け継がれてきた女性たちの手仕事です。花嫁の親族が晴れの日の贈り物として、一針、一針、仕上げた物もありました。昔のスザーニがまるで楽園のように見えるのは、絹糸の美しさに加え、一枚の布に思いを込め、針を動かした女性達の願いや祈りが込められた布だったからでしょう。
彼らはスザーニを、ベッドカバー、ソファカバー、間仕切り、タペストリーなどのテントを彩るインテリアとして大事に伝え継いできました。本来、綿糸の上に絹糸で繊細な刺繍がなされた織物です。その柄は先祖から伝え継がれたモチーフ、花、樹、などです。
市場で遠くから目にした、ウズベキスタンの華やかな絹糸の刺繍布が忘れられない好奇心一杯の織り手は、スザーニを念頭に刺繍織りを始めました。
手元にあるウールを頑張って細く強く撚りましたが、コットンや絹の細さには及びません。織り上がった布に刺繍をする事は知っていましたが、コーチングステッチを知りません。
考えた結果、身に付いたチェーンステッチで柄を付け始めました。
トルコに伝わる刺繍(ジジム)織りは、平織りした横糸の上に色糸を入れていきますので、柄はきちっと平織りの上に納まります。
好きな場所に針を入れていくチェーンステッチの柄付けは、中々、均一になりません。コーチングステッチを知らない織り手は、中央の四つの柄付けもチェーンステッチでしています。
織り手の心の動きや苦心が読める古布は、柔らかい雰囲気で使う方を癒してくれます。
水の流れ=生命を支える水が、常に身近にありますようにとの願い