キリムNo.: KJ14485
産地: コンヤ、オブルク、ベイリーオールドキリム(ウール/ウール)
寸法: 255x129cm
1996年、この澄んだ藍と赤に惹かれ手に入れました。
この澄み具合は、糸、染め、織りの三拍子が揃った結果です。いずれアンティークになれると言っているキリムに近づき、目を大きく開き、織りをチェックする私たちに、「オリジナルだよ!透明感が素晴らしいだろう。」と問屋さんは声をかけてきました。
床に置かれた姿からは、敷かれた空間が浮かんできました。
「コンヤキリム?」と尋ねる私たちに「コンヤ、オブルク。オブルクと言ったら、中心にそびえたつ一本の大きな生命の樹、その両側に2本の樹の礼拝用デザインが知られているが、そればかりではない。この様に細長いランナータイプも大事に伝え継がれているよ。」と、光りにピカピカ輝くこのキリムを指さしました。
伝統的オブルクは、赤、青、緑、茶を使っています。近年のキリムは、伝統的なデザインを織りながらも、色調が粗く、暗く、時に濁っています。そして橙色が使われるようになっています。
「古いキリムの色調は明るい」を、正に表現しているキリムです。きれいな美しい色を出すには、豊かな自然と健康な植物、そして織り手の高い染色技術と感性が必要です。
織り手の先生は先祖伝来の織物と、彼女を取りまく自然です。四季折々、美しい変化を見せる自然は、織り手の感性を鍛え、磨きました。自然を通して深い洞察力を身に付けた織り手は、欲しい色を手にする術を身に付け、豊かな色のグラデーションを当たり前のごとく表現しています。
基本色の赤と青の二色のシンプルな色使いのキリムです。
しかし、藍色のグラデーションは、自然光、ダウンライト、蛍光灯の下、昼と夜で表情が変わります。赤色もしかりです。ボーダーに織り込まれた「眼」に使われた様々な色も、柔らかく褪色し、キリム全体の落ち着きが、織り手の実力を語っています。
しなやかでエレガントなキリムは、100年近い時間に耐え、修理糸が入っていません。
問屋さん達は、糸、染め、織りの三拍子が揃いアンティークになれる要素を満たした、修理糸の入っていないキリムを「オリジナル」と呼び、特別扱いします。
溜息が出ましたが、文化が見せる本物の姿にはかないませんでした。。
眼=邪視除け、 樹=子孫繁栄、 鳥=幸せへの予感、 星=幸せへの願い