キリムNo.: KJ9179
産地: ムット、オールドキリム(ウール&ヤギ/ウール)
寸法: 129x100cm
価格: 132,000円
ムットの織り手が、アンティークキリムの織り手と変わらない程の力量を見せているキリムを手に入れたのは、1992年です。
ヤギと羊が使われた縦糸は双糸(そうし)です。双糸とは、細く強く撚った2本の糸を一本にした糸です。我がスタッフは、「横糸の下になる縦糸なのにヤギと羊の双糸だわ。よほど自信と自負のある織り手ね!」と大感動です。
多くの織り手は、素材となるそれぞれの性質が違う家畜の毛を、縦糸も横糸も単一で糸に撚ります。カーリーな羊の毛は初心者にも撚りやすい素材です。直毛のヤギの毛は熟練した織り手の独壇場です。100年以上前のキリムには、時に双糸が見られます。
オールド前半のこのキリムは、ヤギと羊の天然の濃茶を撚り合わせた双糸を使っています。
昔の織り手に劣らないほどの技術の織り手は、横糸も細かくビッシリ入れています。天然のチャコールグレー、オフホワイトと濃茶を基調にしたキリムは、横糸に化学染料の紫、小豆、赤茶、オレンジ、黄緑、ピンクと、色沢山です。
植物染料で染められた、透き通るように美しい青色は、少量でありながらどの色にも負けないアクセントになっています。トルコでは、青色は「清浄(ピュアリティ)」を意味する色です。偶然なのか、計算の上なのか、織り手が手にした青色は、まさにこの「ピュアリティ」に思えます。
中央には、織り手がこれを織り上げた後に縫い込んだと思われる、白と青の石が見えます。
使う人の幸せと安全を願い織り込まれた「眼(邪視除け)」が、見守ってくれるキリムです。
1950年代より始まった国の定住化政策により、キリムの嫁入りの持参品としての役目は終わりました。それ以降、自家用あるいは商業用に織られたキリムであっても、先祖の織り手達と変わらず、心を込め一層良いもの作りを目指す織り手達です。
ムットは現在でも、彼らの伝統である約140x100cmのサイズを織り続ける、輸出サイズとは一線を画した産地です。
眼=邪視除け、 星=幸せへの願い、 羊の角=繁栄、多産、豊穣