キリムNo.: KJ31298
産地: トルコ、アナドルー、アンティーク逆スマック織り(ウール/ウール)
寸法: 90x51cm
価格: 93,500円
スマック織りとは、横糸を縦糸に斜めに巻き込みながら織る技法です。
張られた縦糸に横糸を入れるのが平織りです。その横糸の上を、別の色糸で斜めに刺繍をするように糸を入れ、柄を付けていくのが本来のスマック織りです。この技法を使うと、縦糸+横糸+刺繍糸の3本になり、より丈夫で、より複雑な柄付けの織物が織れます。
キリム全体にスマック織りを織り込んでいくのは、根気があり織ることの楽しさと大変さを知っている、熟練した織り手たちです。
スマック織りは、紀元前2000年までもさかのぼれるほど古くから伝わる技法で、ペルー、エジプトやペルシャからも発見されています。近代では、カフカス地方、イラン、イラクのクルド族など、広範囲で伝え継がれてきた織り方です。
時に、技術のある織り手達は、オリジナルと呼ぶべき織り方を見せてくれます。
向上心の止まらないこの織り手は、斜めに糸を入れていく本来のスマック織りをしながら、整然とならぶ裏側の色糸の美しさに気付きました。熟練した織り手は、裏側を表にした逆スマック織りを織ることを決めたのでしょう。
90x60cm前後に織られた小さな袋は、トルコ語でヤストクと呼ばれ、枕、穀物入れ、貴重品入れなどとして常に身近に置かれ、幅広い用途で大事に使われたサイズです。
何十枚もキリムを織り続けた黄金の腕は、時間をかけじっくりと糸を染めました。
100年以上の時間が褪色させた色調は、落ち着いています。紺色が褪色した渋い青色と、茜色、小豆色、赤茶色は植物を使っています。黄緑、抹茶、紅赤、紫は化学染料です。
本来のスマック織りの何倍もの時間とエネルギーを注ぎ込んだ織物は、光の協力を得て、今では、植物と化学染料の識別が難しいほど、古布の中で自然に馴染みあっています。
実力を誇示するためでなく、前進する自分の力が嬉しくて織られた逆スマック織りは、これからも見る人に息を飲ませ、人の力に到達点はない事を教えてくれます。
袋をほどき一枚の布にした子孫の問屋さんの両側の淵かがりも、先祖の仕事と肩を並べるほど丁寧です。先祖にも、子孫にも、敬意を表したくなる古布です。
眼=邪視除け、 星=幸せへの願い、 羊の角=繁栄、たくましさ、