キリムNo.: KJ33728
産地: コンヤ、オールドキリム(コットン/ウール)
寸法: 178x85cm
価格: 198,000円
この織り手は、縦糸にウールより丈夫なコットンを使っています。
昔の織り手達は、身近にある素材でキリムを織り継いできました。工夫しながら何とか自分の思うものに仕上げていく創造力と自負、努力と根気が、いつの時もキリムを魅力あふれる文化にしてきました。
古くから様々な交易品が溢れるコンヤでは、織り手達は容易に使ってみたい素材を手にすることができたのでしょう。地中海岸で生産される綿も、盛んに各地に運ばれました。
アナトリアの南、地中海岸に近いアダナでは、豊富な綿とウールを一本の糸に撚り、縦糸や横糸に使っています。豊かな色調で知られる東トルコ・マラティアでは、色調をより華やかに見せるため、綿糸を柄のアクセントに使っています。ここコンヤでは、横糸に隠れ、目に見えないにもかかわらず、綿を縦糸に使っています。
どの地域でも織り手達の想像力と技術が、様々な使い方を生み出しています。
1950年代、国の定住化政策により、遊牧民はそれぞれの土地に定住するようになりました。以後、キリムは彼らの必需品としての家具から、おしゃれなインテリアとして世界中に広まっていきました。キリムはそれぞれの部族の作品から、商品となっていきました。
50年程前のこのキリムは、縦糸に機械撚りの綿糸を使っています。
手で紡ぐ綿糸は時間がかかり過ぎ、価格が付けられません。滑らかに均一に撚られた縦糸にウールで横糸を入れたのは、熟練した織り手です。
少し前まで、縦糸も、横糸も、綿糸でも、ウールでも、ヤギでも、思いを込め自分の手で糸を作っていた織り手です。問屋さんもそんな織り手の気持ちを思いやってか、横糸は最上級のウールを提供し、織り手の思うように糸を撚らせました。
白糸を、ホワイトとオフホワイトに分け、ライトグレーをホワイトに加え、従来通りの技術の高さを見せています。
中央の刺繍と、上下に縞柄を要求したのはインテリアを考えた問屋さんでしょう。
織り上がったキリムの両端に補強糸が丁寧に入っています。キリムが商品になった当時ですが、織り手の自負は、先祖伝来のキリムを織ると同じ姿勢でキリムに向わせています。丁寧な仕事は、未来に向かうキリムの方向性を示していたのです。
眼=邪視除け、 エリベリンデ(腰に手を置く女性)=繁栄、多産、豊穣