キリムNo.: KJ14383
産地: シバス、アンティークキリムクッション(ウール/ウール)
寸法: 39x39cm
価格: 26,400円
見るからにアンティークと言った優しい表情のクッションは、すっかり無駄毛が取れ芯だけになったウールが、ダウンライトを浴びキラキラと輝いていました。マーケットにあふれるキリムの色合いとは違い、落ち着いた深さのある色調に惹かれました。
ベースになっている天然の茶は、グレーがかった茶色、茶色、焦茶色です。その茶の糸を赤と藍を混ぜ合わせた赤紫色に染め加えることにより、更に地色に幅を与えています。
柄に使われている蘇芳(すおう)色よりもっと紫の強い赤色は、日本では葡萄(えび)色、現代ではぶどう色やワインレッドと呼ばれています。抹茶色、山吹色、ブルーグレーも見られる、とても凝った色合わせです。
古くから商業都市であったシバスは、交易品を持った外国人や町を訪れる人々で賑わいました。キリム、羊肉や加工品を売りさばいた後の遊牧民の楽しみは、目新しい外国からの交易品や他部族の品物の品定めとショッピングでした。
半日近くバザールで遊んだ織り手達は、伝統的な他部族の色調から目新しい鮮やかな外国の品々まで、しっかりと目に、頭にたたみ込んでいきました。
町を離れれば日常の生活が待っています。手元にある何年も乾燥させた茜と藍色を使い、幅のある赤紫色を染め出す織り手です。上質のウールは、織り手の技術を一層引き出し、実力以上の仕事をさせています。
いつまでも抜けないバザールの余韻に、織り手はいつも以上の楽しさでキリム一杯を柄で埋め尽くしました。織り手の心の動きが手に取るようにわかるのが、あっちこっち向いている「ベレケット」です。大きかったり、小さかったり、半分であったり、「この遊びは何?」と思わせるほど、マーケットでの興奮が伝わってきます。
感じた興奮を自由自在に表現できるのは、100年も前の織り手だからです。
ベレケット=豊穣、 眼=邪視除け、 ドラゴン=豊かさをもたらす