キリムNo.: KJ39095
産地: コンヤ、トルクメン族、オールドキリムクッション(コットン/ウール)
寸法: 40x40cm
価格: 13,200円
トルクメン族に伝わる赤色は、雨の少ない乾燥地帯特有の黒みを含んだ赤です。青森とイスタンブールの緯度が同じ私たちの赤は、豊かな太陽と水のお陰で少々オレンジがかった赤色です。同じ植物でも、雨の多い地域と乾燥地帯、平地と山岳地帯では色が違うのです。
「色は神様からの贈り物!」と、織り手達に言い継がれてきたキリムの色は、織り手が生み出すものでなく神聖な自然が生み出すものだそうです。
水と草を追い求め常に移動を繰り返した織り手は、家畜に牧草を与えている間に糸を染めました。彼らは、一度にキリム一枚分を染めることはせず、テントを張りそこで過ごす間の織りに必要な糸を染めました。草がなくなり次の牧草地に行くと、又、同じ作業を繰り返すのが織り手達の染め方です。
同じ茜を使っても、染を再開する場所、気温、水、土などの環境の違いにより、常に違った赤色が生まれます。色出しはそれほど微妙な作業であり、神様からの贈り物は常に胸躍る神聖な色なのです。予期せぬ数々の色は織り手の感性を鍛え、創造性を一層磨きました。
先日、山形で80年以上の染の歴史を持つ会社の方に教わりました。
そこでは昭和10年より、化学染料を使っているそうです。彼らは茜色が出せる色を約20種類にも選別し、化学染料でそれぞれの色に染めます。染められた糸で織ると、茜色ですが、近づき観察すれば、様々な赤、オレンジ、黄が茜色を構成しているのが判ります。
彼らが化学染料にこだわるのは、何年たっても同じ色であるためだそうです。
自然に対峙し極めることを目指す日本の仕事、自然を神のように崇めあるがまま大らかに受け入れた遊牧民の仕事、対極にある両者ですが、どちらも、追求し続ける魅力あふれる生き様が、見る者の気持ちをグイッとつかみます。
地平線から昇る太陽があたり一面を真っ赤に染めています。大空に朝の挨拶をして織り手の忙しい一日が始まります。
明るい赤、薄い赤、灰色がかった赤、濃い赤、暗い赤、様々な赤が織りなす色幅の広いキリムの世界が、遊牧民の世界と一体になります。