KJ19513、159x137cm、カフカス, アンティークチュアル

商品, 逸品キリム

キリムNo.: KJ19513

産地: カフカス, アンティークチュアル

寸法: 159x137cm

価格: 352,000円

オーナーが得意そうに広げた古いキリムに、そこにいた誰もが一斉に、感嘆の声を挙げました。いかにも植物といった見事な色調です。濃い藍、黄緑、黄、赤は、どの色も膨らみがあり、深い透明感があります。見れば見るほど、目が離せなくなるキリムは、力強いのに、草原を連想させるような穏やかさがあります。沢山のキリムを見てきた私達にも、初めて目にする色、初めて目にするデザインです。

これはチュアル(衣類袋)を広げ、一枚にしたものです。縦糸にヤギが使われています。
長い間、移動の際、ラクダやロバの背に乗せられた袋なのに、ほとんど褪色が見られません。中心の赤色部分には、コットンとウールを撚った糸が使われています。古くなるほどに白さを増すコットンのお蔭で、このチュアルが相当に古いものであることがわかります。どれもこれも、織り手の技術が相当高いものであることを伝えています。

でも、キリム全体を見渡した時、中心のジジム織りの粗さが目に留まります。
手元に置いて十数年、答えが出ました。
織り手は、色調豊かな美しい平織り布を細かい仕事で織りました。本人も惚れ惚れするほど美しい布は、床に敷き家族だけで楽しむより、移動の際に他部族の目に触れるチュアルとして、先頭を行くラクダやロバの背に乗せる方が、自分の部族の織りの技術力の誇示になると考えたのでしょう。
本来は、織りながら糸を刺繍のように入れていくのがジジム織りですが、出来あがった平織りの上からの刺繍なので、このような粗さの織物になったのでしょう。これとて、技術のある織り手であればこそ、やれた仕事です。

これはいったいどこのキリムなのでしょう?
色調はマラティアからの恵みです。でも、マラティアのチュアルに、ヤギの縦糸はあまり見たことがありません。そして、このデザインは、カフカウの影響を受けているように見えます。私たちも想像力を膨らませ向き合えば、いつか答えでくれるかも知れません。


眼=邪視除け 羊の角=繁栄、力強さ ベレケット=豊穣


▲トップに戻る