キリムNo.: KJ37775
産地: トルコ、シャルキョイ、アンティークカーペットクッション(化繊)
寸法: 40x40cm
価格: 13,200円
ブルガリヤやルーマニアなどの東欧系が得意な問屋さんは、「これが我々の先祖が憧れてきた楽園だよ!絹のようにツヤツヤだろう?」と、艶やかで華やかな色調のクッション十数枚を床に並べました。その瞬間、彼らの先祖たちが憧れてやまなかった楽園がそこに見えました。黄、黄土、赤、オレンジ、ピンク、緑、黄緑、ブルー、紫など様々な色が織り成す花柄のカーペットは、明るさと暖かさに満ち溢れた楽園です。が、天然繊維とは違った表情です。
中東、カフカス地域、東欧、北アフリカまでも支配下に置いたオスマン・トルコの時代、どの地域にもイスラムの教義に従った幾何学文様のアナトリア・キリムが浸透していきました。偶像崇拝を禁じたイスラム教ですが、それぞれの文化を否定するばかりでなく、良い物は良いとして受け入れる柔軟性を持っていました。
バルカン半島には様々な人々が住み東西の文化が融合し、どこかにヨーロッパの香りを感じさせる特有の模様や色彩が伝え継がれてきました。
バルカン系のこのカーペットは、キリムと同じく、高級官僚や貴族の邸宅で床に置く絵として使われてきました。邸宅中に敷き詰められた華やかなカーペットやキリムは、彼らの富と地位を象徴し、彼らは織り手達のパトロンとなり工芸品作りを目指しました。
新しもの好きな彼らは、化学染料を早い時期に取り入れ色幅を持たせた色作りに精出しながら新しい繊維も使っていました。
カーペットを良く見ますと、クリーム色の細い縦糸と横糸の地が見えます。へレケ絨毯並みに、1cmに縦糸が10本も入っています。
花園に咲き競う花々を一層立体的に見せるためでしょう、織り手はクリームの地を見せながら立体的に花々を描いています。あるいは織り上がった後、輪郭をくっきりさせるために織り込んだ糸を抜いたのでしょう。
そうすることにより、何色も使った花々の複雑さが一層鮮明に見る者に伝わります。パトロンに与えられた環境で、織り手は思いの丈を込め楽園を織り上げました。
化学染料に化学繊維そして果てしない時間、当時の贅を尽くした織物は、繁栄した時代からの贈り物です。