→キリム長さ 2m以上, 商品
キリムNo.: KJ37169
産地: ミラス、オールドキリム(コットン/ウール)
寸法: 216x140cm
価格: 286,000円
「ミラスだよ。」と広げてくれたキリムの珍しい色に、思わす「きれい!」と声を上げた私たちです。赤色のグラデーションは、見る者の気持ちまで華やかにします。50年少し過ぎたキリムです。
目にしたことがあるこの赤は何?と日本の色見本帳をめくると、「珊瑚(さんご)色」が近いようです。サンゴ色は、黄みがかったピンク色、これを問屋さんはコーラル・ピンクと呼びました。
糸をまず黄色系に染め、その上に赤色を掛けるとこうなるそうですが、まったく濁りのないグラデーションは、相当な技術の持ち主が生み出しました。
見惚れている私たちに、問屋さんは地図のミラスを指しながら、まるで先生が講義をするように話し始めました。
これは、西アナトリアの南西、エーゲ海地方にあるミラスのアレヴィー派が織ったキリムです。イスラム教の少数派であるアレヴィー派は、男女が同じ場所で礼拝できる自由な宗派です。それゆえ、イスラム教でないという人たちもおり、様々な制約もあります。
芳醇な土地ミラスですが、アレヴィー派はその教義ゆえ山岳地帯に追いやられました。手に出来る植物が限定されるため、このように黄緑と赤色が基調の色調だけで織られた柄のないキリムが伝えられてきました。
世界中どこにもある赤色です。山岳地域でもミラスの様な芳醇な土地の植物からは、オレンジを含んだ赤色が抽出できます。また、雨の少ない乾燥地帯で手に出来るのは血のように黒みがかった赤色です。黄緑系は、春から夏にかけ乾燥地帯にも育つ植物が材料になります。
赤色と黄緑系の配合を変えながら、様々なトーンを染め出し見事なグラデーションのキリムに仕上げた織り手達です。
幾何学文様がキリムの代名詞ですが、制約があったからこそ生まれた柄のないキリムは斬新でモダンです。このモダンなキリムの訳を知れば、キリムが一層身近に感じられます。現代インテリア空間では、合わせ易く、使い易く、人気があります。