キリムNo.: KJ14495-B
産地: カスカス地方、アルメニア、オールドキリム
寸法: 100x96cm
価格: 132,000円
キリムは、乾燥地帯の中近東を始め、北アフリカ、カフカス地方など、羊やヤギを飼育している遊牧民がいる地域であれば、どこでも織り継がれてきた織物です。黒海の北東にあるアゼルバイジャン、アルメニア、グルジア、ダゲスタン、ロシアの山岳地帯のカフカス地方にも、素晴らしいキリムが伝え継がれてきました。
アルメニアは、トルコの東にあるキリスト教を国教とし、古くから貿易と織物で栄えた国です。彼らの織物には、キリスト教の影響か、十字文様(クロス)が織り込まれたり、花柄が織り込まれた物も伝えられています。
19世紀には、アルメニア北西部の死火山、アラガツ山周辺のクルド系の人々により、多くのキリムが織られたそうです。高原地帯が良質の羊毛を育て、人々の交流が様々な交易品をもたらす環境の中、キリムの織り手たちは、色彩感覚を鍛え、より洗練された技術を
身に付けていきました。お蔭でアルメニアのキリムは、このキリムのような幾何学文様や具象的な花柄文様など多彩です。
何十枚もキリムを織ったに違いない、見事な力量を持った織り手は、伝統的に伝わる基本の色調である、白、赤、藍でキリムを織っています。使われていながらも、織り上がった時のままのように見える透明感ある深い赤も藍も、織り手の技術の深さを知らせています。
永遠に壊れそうもないほど強く固く丈夫に撚られた見事な縦糸と横糸は、使い込んでいくほど、しなやかさを見せてくれるはずです。
織り上がった縞柄の上に、織り手は色糸で十字(クロス)文様を刺繍していきました。これが、ベルネ織りと呼ばれる伝統的な技法です。織り手が一針一針刺繍に使ったそれぞれの色は、白は明るさや正しさ、藍は清浄や闇、そして赤はエネルギーや癒しを象徴しています。
どの地域の織り手も様々な工夫を繰り返しながら、このように地域性のある織物を織り継いできたのです。深い大人の赤と藍は、どのような空間に置かれても、落ち着いた雰囲気を見せてくれます。
十字(クロス)文様=邪視除け、 星=幸せへの願い