キリムNo.: KJ32251
産地: シバス,セミオールドキリム
寸法: 108x84cm
価格: 58,300円
消費税変更の為、すべてのキリムをチェックした際に見つけた掘り出し物は、2004年に手に入れたセミオールドキリムです。シバスの伝統的な明るい色調のチュアル(衣類袋)だったキリムは、縦糸にヤギの毛が使われています。
その縦糸ですが、ヤギの毛だけの部分とヤギとウールを撚り合わせ一本に糸にした部分との組み合わせです。なぜ、人目に触れる事のない縦糸にこんな大変な仕事をするのでしょう?織り手の想いを想像しながら見続けると、答えが聞こえてきます。
古い商業都市の東トルコのシバスは、昔から多くの交易品を抱えた外国人の交流地点だった地域です。豊富な水に恵まれた土地で、織り手たちは染料や材料に苦労することなく、色彩豊かなキリムを織り継いできた地域です。
キリムの素材は、ウールが主流で、縦糸やアクセントにコットンがシバスのキリムです。
また、このように大らかで暖かな色使いの縞柄は、50年位前から、チュアルを作る織り手が好んで使う、織り易い柄付けです。どこに置かれても使い易く、空間に明るさを運んでくれる縞柄は、キリムの初心者から上級者まで、誰ものお気に入りの一枚です。
織り手は、暖色の縞柄のチュアルに、自分にしか出来ない仕事を楽しんだのでしょう。
パーマをかけていない毛のように直毛のヤギの毛を糸にすることは、高い技術の持ち主のみに出来る作業でした。おまけに、伸縮性の違う真っ直ぐなヤギの毛とカーリーな羊の毛を一本の糸にする難しい作業は、糸作りの達人として一目置かれた人のみの仕事でした。
長い間、きれいな衣類袋として使われてきたクッションのように大きな袋は、子孫の問屋さんの手で、使い易いインテリアアイテムとしてほどかれ、一枚の細長い布になりました。
お蔭で、私達は、織り手の工夫を目にすることが出来、織り手の想いや気持ちを想像することが出来ます。
想像を巡らすほど、織り手たちの創造性の豊かさに圧倒されるのがキリムですが、そんな織り手との出合いを楽しめるのもキリムなのです。
鳥=幸せの予感、水の流れ=生命を支える水が、常に身近にありますようにとの願い