KJ36829、104ｘ70ｃｍ、フェティエ,オールドキリム
キリムNo.： KJ36829
産地： フェティエ,オールドキリム
寸法： 104ｘ70ｃｍ
価格： 85,800円
ボーダーの中に柄を置いて、まるで絨毯のようにかっちりした規則正しい柄付けのキリムを織ったのは、西アナトリア、フェティエの織り手です。おとなしく穏やかな雰囲気のキリムは、織り手の心の表現と言われる従来のキリムとは違った印象を与えてくれます。
フェティエでよく見られるオールドキリムは、赤をベースに、ピンク、青、黄、茶や緑と豊かな色彩で織られた、大きな眼がモチーフの、力強いデザインです。また、天然のベージュをベースに、赤、藍、オレンジ、緑などの縞柄のキリムも伝え継がれています。これは私たちの空間に馴染みやすく、使い易いキリムとして人気のアイテムです。
常に移動を繰り返した遊牧民のキリムは、柄付けやバランスを考える必要のない横柄です。このように左右対称の柄付けが織れるのは、牧畜民と呼ばれた、早い時期にその土地に定住していた人々です。その後、移動してきた人々は、家畜の飼育しやすい土地を求め、一年中、他人の土地を移動してきました。遊牧民と呼ばれた人々です。
この織り手は、織り機に向かいながら、織りの構想を練る時間をこよなく楽しんだ、織る事が大好きな人でした。織り上げる度に確実に身に付いていくキリム作りの技術や創造力が、毎回、新しい仕事に挑戦する原動力だったのです。
織り手は、フェティエに伝わる二つの伝統柄を一つのキリムの中に表現することにしました。かつて先祖が織ったベージュの天然の毛を基調にした縞柄を中心に、ボーダーは伝統的な連続する幾何学文様です。
このキリムの織り手は、高い技術のお蔭でほぼ完ぺきな柄付けのキリムを織り上げています。完璧な形は神様のみというイスラム教の教義のもと、織り手はあえて、中心の縞柄に置かれている刺繍のバードック（ごぼう）の数を、違えています。
教えに忠実に、伝統に忠実に従いながらも、オリジナリティのある織物を作り続けた織り手たちの創造性が、キリムを一層魅力ある織物にしているのです。