KJ16248、143ｘ120ｃｍ、マラティア、オールドチュアル
キリムNo.： KJ16248
産地： マラティア、オールドチュアル
寸法： 143ｘ120ｃｍ
価格： 198,000円
遊牧民は、身の回りにある素材を使い織りを続けた人々です。
綿糸のように細い糸が欲しければ、どんなに時間がかかろうと、懸命にウールを細く撚り使いました。不可能を可能にする織り手たちの腕は、見る者をうならせるほどの織物を織り上げても、それが当たり前の世界でした。
東トルコのマラティアは、芳醇な気候に恵まれた地域で、織り手は、羊、ヤギやキャメルの毛、そして綿糸も手にしており、他地域より表情豊かなキリムが伝えられています。
マラティアのクルド族が織った100年に近いこのチュアル（衣類袋）には、縦糸がヤギ、横糸はウールが使われています。ほとんどのチュアルは、縦糸にウールもしくは綿、横糸はウールが使われています。
ヤギは直毛であるため糸作りが難しく、高度な糸作りの技術を身に着けた織り手の仕事です。また、使っている間に糸にかけたよりが戻ってしまうため、キリムの端が丸まってしまうという難点がありますが、この織り手はその問題も難なくクリアーし、美しい袋を織り上げています。
マラティアのチュアルは、美しい色のグラデーションを表現したものが多く伝えられています。芳醇な土地は、織り手にいつも植物を与え、織り手たちは自然のもたらす色の美しさを思う存分楽しみながら、春の訪れのように、思わず笑顔がこぼれそうになるような透明感あふれる美しい色調のチュアル作りに励みました。
テントの中に並べられたチュアルの置かれた空間は、まるで楽園のように明るく、家族を穏やかに包み続けたことでしょう。
熟練した織り手は、秋のマラティアをチュアルの中に織り込みました。実り豊かな秋は、心豊かに過ごせる冬につながります。円熟味を加えた織り手のみが表現できる、しっとりとした落ち着いた世界は、自然の力が手を貸してくれたお蔭で、一層の深い表情を見せています。
眼＝邪視除け ベレケット＝豊穣 足かせ＝友愛
Ｓ字フック（鍵）＝邪視除け