KJ37618、142x106cm、ディアルバクル、オールドキリム

キリム長さ 150cm前後, 商品

キリムNo.: KJ37618

産地: ディアルバクル、オールドキリム

寸法: 142x106cm

価格: 165,000円

プロの方を特に魅了するキリムが、モノトーン、このように、無染色の糸で織られたキリムです。このご要望はなかなか難しく、常に問屋さんにお願いしていても、気に入った物に出合えるチャンスはまれです。天然キリムが得意な問屋さんで半日を使いながらも、天然キリムは表情があり過ぎるため、毎回手にできるのは数枚です。

 無染色のキリムは標高が高く、植物の入手が比較的難しい地域で多く織られたキリムです。
 植物がなくても、織り手たちは常に織り機に向かい、自家用のキリムや娘の嫁入りの持参品キリムを織り続けました。多くのキリムは実用的な民芸品で、素朴な雰囲気を持ち、色彩豊かな地域のキリムと比べますと、どうしても楽しさに欠けるきらいがあります。

 天然のキリムほど、織り手に感性やセンス、織りの技量を要求している織物はありません。
 多くの織り手は、天然でも色に強弱を持たせるため、羊の毛を丁寧に色分けし、濃淡で織りを表現しています。技術の高い織り手であれば、ヤギの毛、ラクダの毛なども混ぜ合わせ、キリムに一層の表情と厚みを持たせています。

このキリムはそんな高い技術の織り手の作品です。ウールの濃淡を中心に、所々にヤギの毛を使っています。また、貴重なラクダの毛が使われていることをキリムの柔らかい部分が教えてくれます。強く丈夫に撚られた上質のウールは、織り手の熟練度を伝えています。

 小さなサイズのキリムですが、織り手は「一日」を織り込んでいるようです。
 暗い内から始まる織り手の一日です。羊やヤギの乳搾りや家族の食事の支度が終わる頃、外は朝日が昇っています。乳の加工をし、家事をかたづければ、織り機の前に座る時間です。すでに、空は高く、明るく強い日差しの下、今日も昨日の続きの始まりです。
 織り機に向かう時間のみが、織り手が自由になれる時です。
 縞柄の揺れは、自然の声を聴きながら笑顔で織り続ける、織り手の満ち足りた気持ちや心の動きです。色がなくても、与えられた環境を十分に楽しむ豊かな感性の持ち主は、想像する事の楽しさを教えてくれます。

 



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