KJ36348、146ｘ105ｃｍ、アダナ、オールドジジム
キリムNo.： KJ36348
産地： アダナ、オールドジジム
寸法： 146ｘ105ｃｍ
価格： 132,000円
臙脂（えんじ）色で、細い縦糸と横糸を使い、細かい織りのアダナのオールドジジムは、誰もが好む側に置いておきたい逸品です。このジジムはその臙脂色と同じくらい細い縦糸と横糸を使った、アダナには珍しく、赤みの強い茶色である弁柄（べんがら）色のオールドジジムです。この弁柄色は、鉄分の多い土を焼いて取り出します。ベースには両房に見られますように、鮮やかな濃い赤色を茜を使い出しています。その茜にもう一色掛けて作った弁柄色が、現在では褪色し、良質のウールは光沢を放ち、今が旬と言わんばかりの存在感は、光の当たり具合や時間により違った表情を見せ、楽しませてくれます。
枯れ始めた穏やかな落ち着いた色調に、不釣合いと思えるほどのにぎやかさは何なんでしょう？しばらく見続けると見えてきました。織り込まれているジジムの柄が、すべて違うのです。
羊の角、ドラゴン、バードック（ごぼう）、眼、イヤリング、チェストなどの幸せを願うデザインが、黄色、黄緑、オレンジ、橙などの同系色の糸で、所狭しとばかりにびっしりジジム織りされています。糸作りも、色出しも、織りも、ベテランの織り手の思案顔が浮かびます。
織り手があくまでもこだわったのは、美しい想像の世界を表現することではなく、伝統をしっかり次世代へ織り継ぐという、部族の印を形に残すことでした。
織り手にとり最も大切だった伝え継ぐこととは、家族への愛であり、部族の一員としての誇りだったのです。部族のデザインをジジムに織り込んでいく織り手は、伝えることの誇らしさを胸一杯に、子孫に願いを託し、心躍らせながらジジム作りに励んだのです。
でも、やはり想像力を鍛え続けた織り手は、自分の作品の証として、色だけは独自の色でキリムの世界を展開したのです。織り手の生き方が表現されているジジム織りです。
羊の角：繁栄、たくましさ イヤリング：幸せな結婚を願う
エリベリンデ（腰に手を置く女性）：繁栄、多産、豊穣 眼：邪視除け
ドラゴン：水と空気の支配者、豊作、豊かさをもたらす チェスト（箱）：子孫繁栄