→キリム長さ 2m以上, 商品
キリムNo.: KJ15503
産地: モロッコ、ザルーム、オールドキリム
寸法: 231x164cm
価格: 264,000円
1997年の冬、モロッコのマラケシュで手に入れた古いキリムです。
秋用の服装でモロッコの一月を快適に旅していた私達は、バスを使ったフェズからマラケシュへの移動中、アトラス山脈に積もった雪に目を丸くしたものです。モロッコはアラブ人とベルベル(Berber)人から成る国です。70%が山岳地帯で、気温差の激しい土地と聞き、勉強不足を恥ずかしく思ったのも懐かしい思い出です。
マラケシュのマーケットには沢山の絨毯&キリム屋さんがありましたが、歩いたマーケットで目にしたのは、素朴な縞柄ときれいな化学染料を使った細かい柄付けのスマック織りでした。「コレクター好みだけれど、ベルベルのものならコレクションにあるよ。」という問屋さんが案内した部屋は、パステル調の黄色の部屋です。「何、この色?」に「サフランの黄色だよ。体に良いよ。」そんな会話をしながら、何枚か選び出した私達に、奥から持ってきたのがこのキリムです。
トルコキリムの柄と共通しているのは、オスマントルコ時代から行き来があったこと、同じイスラムであること、ベルベル族の遊牧生活が長かったこと、織り手の女性たちの感性が近いことなど、遊牧民同士の様々な類似点があるからでしょう。
同じくらい上質のウールを、同じくらい固く強く撚り、同じくらいの染色技術で、トルココンヤと見間違うほどに卓越した技術力で、アフガニスタンのバルーチ族が得意とする錦織の技法を使い織っています。同じ時代、それぞれの場所でキリムを織っていた女性たちに交流は勿論、情報交換さえあったとは思えません。それなのに、彼女達の酷似した技法や色調は、似た自然条件、移動した環境、織り手の感情の動き、家族への思いなどが織らせた偶然だったのでしょうか。
滲んだ色を何とか抜こうと努力しましたが、「これがキリムの伝統なんだよ」と言っているキリムにはかないませんでした。あるがまま自然を受け入れ生きた織り手に沿っていくことこそが、キリムの好ましい使い方でしょう。
水の流れ:生命をささえる水が、常に身近にありますようにとの願い
鳥:幸せに向かい飛んでゆく 眼:邪視除け チェスト(箱):子孫繁栄
バードック(ごぼう):裕福 星:幸せへの願い