KJ17349、153ｘ111ｃｍ、イズミール、新作草木染キリム
キリムNo.： KJ17349
産地： イズミール、新作草木染キリム
寸法： 153ｘ111ｃｍ
価格： 220,000円
左のＫＪ－１７３４３と同じく、このキリムを手に入れたのは１９９８年です。
社長さんが引退し、子供が仕事を引き継ぐ事になりました。若い彼らは、手間がかかり過ぎる割には、高い価格を付けない父親の経営方針を引き継がず、売りやすい輸出用キリムの生産に方向を転換しました。
父親である問屋さんは何年も通い続け質問を浴びせる私たちに、大分前から心を開いてくれていました。約５０枚、全部を引き取ることを条件で、彼のコレクションを私たちに譲ってくれると言うのです。
うれしさの反面、瞬間、金額が頭をよぎりましたが、今後、誰も作れないキリムです。問屋さんが決して手放さなかった、「ワー！」と声を上げさせる色調のキリムが日本にあるというだけで、誇らしいことです。頑張りました。
あれから十数年、大事に紹介してきた、日本人の感覚にフィットし易いイズミールキリムは、現在このシリーズだけになってしまいました。
ダイナミックな大きな羊の角のデザインのキリムです。得意とする藍色の濃淡が、見る方向により、まるでモザイク画のようで、立体的であり、繊細さすら感じさせます。柄もあえて中心をずらし、左右の大きさも違えています。いったいどうしてこの柄付けなでしょうか？
「この大胆なキリムはどうして？」と聞く私に「海も空も常に動いている。二度と同じ表情はない。その動きをキリムに表現したんだ。敷かれた空間に動きが出てくるのは、柄付けのバランスをずらしたからだよ。」「エーゲ海の青さが好きでね。青はすべてが無限であることを教えている色だよ。見る人を落ち着かせ、幸せにしてくれる。キリムは私の気持ちの表現さ。」と、返した答えは、宝物を手放す寂しさも手伝ってか、自分に言い聞かせているようでした。
いつの時代も、キリムが織り手の気持ちの表現であるからこそ、キリムがアートとして評価されるのです
羊の角＝繁栄、たくましさ ドラゴン＝豊かさをもたらす 狼の口＝邪視除け