キリムNo.: KJ24358
産地: バルケシール, セミオールドキリム
寸法: 240x69cm
価格: 154,000円
2000年秋に手に入れたバルケシールのジジム織りは、まるで機械で織られているのかと思い違いするほど、細い縦糸に横糸がびっしりと入れられています。
いったいどれ程の時間と気力を使ったのだろうかと思わせるほどの細かさに驚かされながら目を横に移すと、数十枚はある同じデザインで同じ色調のランナーの山です。
先祖伝来のキリムを手本に、その技術に少しでも近づこうとした姿勢には、目を見張るものがありましたが、「なぜ同じなの?どうして何十枚もあるの?」と、不思議がる私たちに、問屋さんは渋い顔を見せました。
このキリムが織られたのは30年ほど前です。当時、トルコのデニズリやカイセリでは、輸出用キリムの生産が徐々に始まっており、バルケシールでも情報を持っている問屋さんは、輸出を意識したこのようなキリム作りを始めていました。
しかし、先祖伝来の伝統を尊重し、上等のウールを使った、時に天然染料のキリム作りは、輸出向けの生産量と価格競争をクリアー出来ず、バルケシールキリムは多くの人の目に触れる機会は持てませんでした。
お蔭で、手にしてから11年たったキリムに、現在でも、初めて目にした瞬間と同じ驚きを与えられ、その出来栄えに見惚れます。
バルケシールの伝統色の上に置かれた柄も伝統柄ですが、織り手は外国人に使われることを意識しながら、織りのイメージを膨らましていったようです。
中心に置かれているのは羊の角です。織り手の力量は、どの角も強さを抑えながら整然ときれいに置き、インテリア空間に馴染みやすく、穏やかに使える事を心掛けたのです。
絞り込んでもまだ5枚を残しながら迷っている私たちに、「織り手の思いを日本の人に伝えてあげて。」と、問屋さんは嬉しい価格をくれました。
いつの時代も、精一杯の気持ちを込め、最善を尽くし織りを伝え継ごうとする織り手がいたからこそ、キリムはここまで支持されてきたのです。
羊の角=繁栄、たくましさ S字フック=邪視除け 眼=邪視除け
樹=子孫繁栄