KJ24357、206x67cm、アルメニア, アンティークベルネ織り(ウール/ウール)

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キリムNo.: KJ24357

産地: アルメニア, アンティークベルネ織り(ウール/ウール)

寸法: 206x67cm

価格: 264,000円

さりげなく敷かれていたら「きれい!細かい仕事ですね。」で、終わらせてしまいそうな優しい古布は、アルメニアのベルネ織りと呼ばれる技法が使われています。

驚くほど細く撚られたウールの縦糸に、柔らかいけれど強く撚りのかかった横糸をゆったり入れています。これは刺繍織りをする上での鉄則です。
抑えた茜と濃茶と白の組み合わせが与える穏やかな安心感からは、高度な技術を備えた織り手の余裕すら感じさせます。

アルメニアは、アゼルバイジャン、ダゲスタン、グルジア、ロシアなどからなる地域で、カフカス地方にあります。アルメニアは3世紀初めよりキリスト教を国教とし、貿易と織物で栄えた国です。彼らの織物にはキリスト教の影響か、十字模様(クロス)がデザインとして織り込まれたり、まるで工芸品のように布全体を細かい十字文様で埋める文様が、伝統的に伝え継がれてきました。

19世紀には、アルメニア北西部の死火山、アラガツ山周辺のクルド系の人々により、たくさんのキリムが織られたそうです。高原地帯が良質の羊毛を育み、人々の交流は様々な貿易品をもたらし、織り手は色彩感覚や洗練された文様などを身に着けていったのです。

エスニックや遊牧民の匂いとは程遠いこのベルネ織りを手にしたのは2000年の秋です。
自然光の下に置かれた布全体に刺繍がなされたような布は、洗練や極めるという言葉がピッタリで、まるで日本の織物かと見間違えるような奥ゆかしさで、広げられていました。

布をよく眺めていると、横糸を入れながら色糸を入れている部分と、平織りした後で刺繍をしている部分と、違った技法を使っています。ベルネ織り部分は、後に刺繍糸で十字のデザインを作っていますが、縦糸は表にしか見えません。

いったいどれほどの時間が使われたのか?見れば見るほど大変な古布です。もっともこの織り手にとっては、見る人を驚かせる私だけが織れる布作りに、心弾ませての挑戦だったのです。時間の観念も流れも、大切なことも、違った時代の織物です。



クロス(十字):邪視除け、 眼;邪視除け、
水の流れ:生命を支える水が常に身近にありますようにとの願い


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