KJ14003、193x127cm、シャルキョイ、アンティークキリム

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キリムNo.: KJ14003

産地: シャルキョイ、アンティークキリム

寸法: 193x127cm


1995年に出合ってから20年が経過し百数十歳になったキリムは、その美しさに益々磨きをかけながら落ちつた華やかさを見せています。アナトリアキリムとは違った美しい雰囲気に魅せられるファンが多いキリムです。

トルコのヨーロッパ側であるバルカン半島のトラキア地方、旧ユーゴスラビア、ボスニア、ブルガリア、ルーマニアなど広範な地域で織られたキリムを、シャルキョイキリムと呼んでいます。
1950年ごろから、当時の東欧では計画生産をするようになり、大量のキリムが工房で織られてきました。腕の確かな織り子たちによるキリム作りは、糸、織り、文様の組み合わせ、配色などは、昔と比べても見劣りしないほどのものでした。共産圏崩壊後、キリムはトルコ経由で、世界各地に輸出されてきました。

昔から細い糸を使い薄い織物を織り継いできた人々は、オスマン帝国の時代になると、この地域を統治するパシャ(総督)や将軍たちの屋敷や官邸を飾るキリムを織るようになりました。装飾品として職人により織られたキリムは、染色にむらがなく、織りもきっちりとし、糸も細く強く、空間を飾る理想的な薄い織物として重宝されました。

見惚れるほど見事な深紅色はコチニールです。コチニールはサボテンに寄生するカイガラムシやラックなどから取れる動物染料です。このような大きさのキリムを染めるには、約20万匹の虫が必要です。時間をかけ乾燥させ、つぶし、染料となります。
北アフリカのカナリア諸島がトルコ領であった1900年代、盛んにコチニールが生産されました。見た事もない深く鮮明な動物染料は、またたく間に職人の間に広まり、競い合った結果、この様に見事なシャルキョイキリムへとつながって行きました。

シャルキョイキリムの基調となる色は、深紅色、黒に近い濃紺、時に濃い緑色です。織り手は高い技術で、色を濁ることなく鮮明に染め上げています。
デザインは、伝統的な生命の樹と鳥です。それぞれのデザインは、横糸を斜めに入れながら優雅な曲線で描かれています。これも職人ならではの技です。
技と技術のすべてをかけ織られたキリムは、まさに飾る芸術です。心を込めた傑作は、いつの時代でも人々を魅了してやみません。




生命の樹=不滅の繁栄、 鳥=幸せの予感、 眼=邪視除け

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