KJ30503、119x73cm、コンヤ、アンティークキリム

キリム マイギャラリー

キリムNo.: KJ30503

産地: コンヤ、アンティークキリム

寸法: 119x73cm


KJ-0737と同じミフラブ(礼拝用)デザインのキリムですが、時代が私達に近づくにつれ、織り手の生活環境や感覚が変わってきた事が感じられます。

100年以上前、織り手を取り巻くのは、どこまでも広がる緑の草原と青い空、あるいは土色の大地に続く重い空です。限られた色彩は、織り手の感覚や感性を一層磨き、創造の世界を広げ、鍛えたのです。自然はどこまでも彼女達の味方です。糸、織り、染めの三拍子が揃った現存する当時のキリムは、オーラがあり、誰にも溜息をつかせる魔法使いです。

このキリムは、ミフラブデザインをお祈りのみならず、家族のタペストリーとしてカラフルな色調で作られています。化学染料も手に入る時代です。色が好きな織り手は草木と化学染料を使いながら、赤、オレンジ、藍、黄緑、ベージュ、赤青黄を合わせて落ち着いた赤の蘇芳(すおう)に近い色など、色作りを楽しんでいます。
織り手が使った赤はエネルギーあるいは癒し、青はピュアリティー、清浄、緑は楽園、天国を意味しています。残りの白は平和?オレンジは笑顔?と想像してみれば、「意味はお好きに!」と織り手の笑顔が返ってきそうです。

キリムが1500年もの間、織り継がれてきた最大の理由は、織り手達のこの姿勢です。先祖からの伝統に従いながらも、織り手達はその時代の風や香りを貪欲に吸収し、先祖と自分を一枚のキリムの中に表現してきました。
伝統に縛られる事なく次世代に継承する部族の象徴は、時代と共に少しずつ変わっています。基本である部族のデザインは、ほぼそのまま伝え継がれていますが、部族の色調は自然現象の変化に伴い、同じ材料を使っても少しずつ薄くなっています。

いつの時代も変わらなかったのが織り手達のやる気と創造力です。
常に今以上に挑戦し続けた織り手達が支え守り続けたキリムは、残念ながら現代では品薄ですが、先祖のDNAを持つ織り手達が元気に、商品としてのキリム作りでマーケットを支えています。




ミフラブデザイン=礼拝用文様、 星=幸せへの願い、 眼=邪視除け、


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