キリムNo.: KJ14943
産地: ムット, ベイリーオールドキリム
寸法: 288x125cm
1996年の秋に出合ったムットのキリムです。古いムットキリムの、伝統的色調である、赤、藍、黄、白に中央に置かれたメダリオン柄は、まさに本でしか知らなかった昔のムットキリムです。
80年位の古さなのに、染められた当時のままのように華やかな色調に圧倒されながらも、濁りのない美しい深い色に惹かれました。また、撚りの強い糸がびっしり入れられているにも関わらず、そのしなやかさに織りのうまさを教わりました。
トルコでは、染められた当時のままの色調を保っているキリムは評価が高いということも教えてくれたキリムです。
1500年を誇るキリムの文化への第一歩への扉を開けてくれたキリムです。
100年も前の地球が、いかにきれいだったかを教えてくれるのが、艶やかな上等のウールです。健康な植物が艶やかな毛を育てます。染めを楽しむ織り手は自然の力を借りながら、目にしたこともないほどの濃い色や鮮明な色を生み出す努力を惜しみませんでした。
自然が健康であった頃、水の少ない地域の植物は、その根や幹に一層濃い色素を蓄えました。昔の多くのキリムの色調が濃いのは、そんな事情も影響しているそうです。
好奇心と創造力に想像力をもった織り手の仕事が、現代の私たちを驚かせてやみません。
20年位前のマーケットにはすでにこのレベルのキリムはなく、出回っていたムットキリムの多くは、茶色や黄土色などのアースカラーを基調にした、インテリアに合わせ易い50~60年位前のキリムでした。デザインは伝統を守った大きなメダリオン柄や大きな星を中央に左右を細かい柄で埋めていくデザインです。
大柄なのに、アースカラーでまとめられたキリムは、ヨーロッパ家具や日本の和室にも使われる人気あるキリムとなりました。
キリムも織り手が情報を持つにつれ、また自然の変化により、伝統を忠実に踏襲することが難しくなってきます。
現在のムットキリムは、デニズリやカイセリなどの輸出産地とは一線を期した、独自路線を持っています。それは、天然の羊やヤギの毛をそのまま染めずに糸にし、織られたものです。ベージュや茶のグラデーションに、伝統の柄を織り込んだキリムは、空間に馴染みやすく、アクセントとして人気があります。
狼の口=邪視除け 星=幸せへの願い 足かせ=友愛 眼=邪視除け