キリムNo.: KJ26314
産地: フェティエ、アンティークチュアル(衣類袋)
寸法: 106x79cm
価格: 198,000円
2001年に出合った細かい織りのジジムは小さいにもかかわらず、使い込まれ落ち着いた雰囲気が気持ち良く、安定感漂う大人を感じさせるアンティークです。
「見事に美しい縦糸だ。持ってごらん。」と、問屋さんから渡されたキリムは、上下3cm位のフサがピンと立ち、撚りの強さを語っています。織り手の確かな腕は、機械で作ったかと思えるほど均一の縦糸を細く強く丈夫に撚っています。キリムの屋台骨ともいえる縦糸作りは、時間がかかる根気のいる作業ですが、これがキリムの寿命を決めると言っても過言ではありません。伝え継がれるキリムのあるべき姿を見せているアンティークです。
これはチュアル(衣類袋)と呼ばれるクッションのように大きな袋の表側です。
移動の際、遠くからでも部族の識別が容易に出来るよう、先頭を行くラクダの背に乗せられました。多くの人目に触れる部族を象徴するキリム作りは、当然、最高の技術を持った織り手の仕事です。
織り手は部族と子孫を念頭に、人目に触れない縦糸ですが、強くて細い糸に撚りました。手慣れた染色は、紫みのある深い紅赤(べにあか)、濃い赤色の茜(あかね)、濃く暗い赤の臙脂(えんじ)、オレンジ、藍、浅緑などを、自由自在に染め出しています。そして友である「光」が時間をかけ、ゆっくりとそれぞれの色を褪色させ、織り手が想像したであろうアンティークになった時の色調を創り上げています。
織り手の工夫は、織りにも見られます。
横糸には色糸と天然の白と濃い茶のウール、そして濃い茶のヤギの糸まで使っています。
熟練した織り手の多くはヤギの毛は縦糸に使います。カーリーな羊の毛と違い、直毛のヤギの毛を糸にする作業は、糸作りに精通した織り子のみができる誇らしい作業です。
誰よりも高い技術を身に付けた織り手は次のステップを目指し、柄付けの輪郭や、袋に縫いつけられる両端をヤギの糸で飾り、伝統に従いながらもオリジナリティ溢れるアートに仕上げています。
どこまでも先を目指し自己表現にこだわった織り手のキリムは、子孫に仕事の基本の大切さを教え、表現を磨く目を鍛える事が独自の表現につながる事を教えています。
眼=邪視除け、 羊の角=繁栄、力強さ、 鳥=幸せの予感、 水の流れ=生命を支える水が常に身近にありますようにとの願い