キリムNo.: KJ18672
産地: ディアルバクル、オールドキリム
寸法: 156x105cm
価格: 176,000円
黒い玄武岩の城壁で囲まれた町として知られる東トルコのディヤルバクルは、チグリス川上流の乾燥地帯にあります。この地はメソポタミア平原に近く、過去も、現在も、軍事的、経済的に重要な地点です。ある夏の日、目が覚めるとベッドの毛布の上にさらさらした細かい砂が乗っていたのが思い出されます。
そんなディアルバクルのキリムは、無染色のウールやヤギを使いながら、濃淡で日の出や日没を表現しているかのような、細かい表情のあるキリムが多く織り継がれてきました。
そんな中、珍しく出合ったのがこのキリムです。
まだ若い織り手が感じられるキリムは、柄付けも織りの技術もこれからです。が、糸の撚り方はしっかりしています。キリムの織りの基本が糸作りだという事を叩き込まれながら、毎日ひたすら糸を撚り続けた結果です。
織りを懸命に進める若い織り手は、色糸でキリムの画面を埋めることに懸命で、自分がイメージする世界はまだまだ遠くです。
何とか織り上がったキリムからは、大らか、元気、素朴、懸命と言った織り手の性格が伝わってきます。この人なら、歳を重ね、何十枚ものキリム作りの義務が終わるころには、その感性も、技術も磨かれ、創造するキリムの世界を自由自在に表現できる織り手となったことでしょう。
懸命な仕事をしているにもかかわらず、どこかユーモラスな大らかな柄付けに目が離せず、1998年に手に入れたキリムです。久しぶりに広げてみると、昔と同じエネルギーを放ちながら、独特のオーラを感じさせるキリムになっていました。