キリムNo.: KJ37671
産地: コンヤ、オールドジジム織り
寸法: 94cm X46 cm
価格: 68,200円
「きれい!上品!繊細!」次々と感嘆の声を上げながら、表情ある小さなジジム織りを、しげしげと眺めている私達に、問屋さんは「コホン。」と咳払いをした後、言いました。
「なぜ人を惹きつけるのか?それは、織り手の技術の高さはもとより、織りに対する姿勢が見る人たちの気持ちに伝わるからさ。」納得できる説明です。
「裏側に藁(わら)が付いていないから、これは織り手や部族の女性たちが、小物入れに使ったヤストク(袋)だろう。これほどの技術は、身近に飾って眺めて楽しんだはずだ。自分のイメージを忠実に表現し、心から織る事を楽しんでいる。テントを飾ったインテリアであり、部族の織りの教材だろう。素晴らしい織物だ。」
馴染みの問屋さんは、取っておいてくれたこの布を前に、レクチュアを始めました。
「多くの織り手は、濃茶の色は天然の羊の色を使う。褪色しない天然の毛は、時間の経過と共に染色した糸とのコントラストが強くなり、最初に目に飛びできて、布全体のバランスや雰囲気を壊してしまう。
根っから織りの好きな織り手は、褪色した100年後を想像していたかもしれない。
1/3は天然の茶、残りの茶は染織した糸を使っている。地にはコットンが使われている。コットンは時間が経つほど白さを増す糸だよ。白と濃茶は反対色だから、分量を抑えることにより、強さからおしゃれやモダンそして立体感につながっていく。
何十枚も織りながら習得した織り手の感性と技術は、止まることがなかったんだろう。
縦糸の細さを見てご覧、神業じゃないか?織る事が何より好きな織り手は、気持ちよく糸を染め、織りをしている。こんなに繊細な織物だが、優しくてしなやかで、余分な力が入ってない。生き方も然りだったんだろう。出合えた人は家宝になるよ。」
問屋さんの説明を褒めると、「私の先祖だからね。」と遠くを見ていた顔が、笑顔で一杯になりました。織り手と話が出来るようになれば、「キリムとは?」の答えが見え始めます。
エス(S)字フック=(鍵):邪視除け 眼=邪視除け イヤリング=幸せな結婚を願う
ドラゴン:世高さをもたらす 水の流れ=生命を支える水が、常に身近にありますようにとの願い